「寄り添う平行線。」グッド・ストライプス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
寄り添う平行線。
冒頭で向かい合って食事をする二人の超倦怠ムードが秀逸。
こんなんで楽しい?間もなくこの二人は別れるなぁと見せ、
予期せぬ妊娠!によって今度は結婚へと話は突き進む。
アラサー世代に大ウケしそうな題材だけど、最初「平行線」と
いう言葉に違和感を覚えた。結婚は平行線じゃないだろ、と。
相手に迎合することで結婚の帳尻を合わせていた時代は過ぎ、
ある程度やりたいことができるお母さん世代になってきた。
「映画館で子供と映画が観れる」だなんてどうして私の時代には
なかったんだよ!と羨ましい限りだが、要望が罷り通る世の中
になってきて我慢や忍耐力はどんどん遠のいている。果たして
それは本当に幸せなことか?そんなことまで考えさせてくれる。
ありのままに振舞う二人には互いの価値観や趣味、友人関係が
全く理解できずソリが合わない。これでよく付き合ってきたと
不思議に思うのだが、妊娠を機に互いの家族や周囲との関わり
がどんどん変化する。特に互いの実家(両親や家族)に於いては
初めての発見や経験が効いて、戸惑いながらも相手の弱い部分
やコンプレックスが見えて親近感が湧いてくる。完璧な結婚は
あり得ないけれど、こんなものかと諦めることだって、ない。
ふにゃふにゃして自主性のない真生(中島)というキャラクター
がどうも私的に気に入らないのだったが^^;、緑(菊池)の方も
全く可愛げがなく女の魅力に欠ける。巧く描けていると思う。
真生の父親との一件で複雑な事情が明らかになるが、これが
却って二人の絆を深めるきっかけとなり、特に緑の方に微かに
母性が見えてくるところがいい。認め合い助け合い寄り添う
姿が微笑ましく、あんなまずそうにご飯を食べていたカップル
から随分成長したなーと頷かされる。そういえばこの作品には
料理のシーンがあるのに美味しそうな料理が一つも出てこない。
緑はそういう仕事なのにちょっと残念。流しそうめんじゃさぁ。
(まだまだこれから。でもいい夫婦になれそうな感じのカップル)