劇場公開日 2015年2月14日

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「ラブストーリーではないよ」ラブストーリーズ コナーの涙 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ラブストーリーではないよ

2023年12月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

このレビューを書く前に、本作と対になるエリナーの愛情の方も観た。これだけでも面白かったが二本が合わさって一本の作品になっていたら、もしかしたらなかなかの傑作だったかもしれないなと思ったけど、それだと本作のメインテーマである男女の想いの違いを表現できなかっただろうし、なんとももどかしいものだね。
両方を観終わって、コナーが悪い、エリナーが悪いと言い合えたのだから監督の意図通りだし、これはこれで良かったのだと思う。
なんとなく自分はコナーに肩入れしてしまうのもあって、ラブストーリーズなどというトンチンカンな邦題でもせめて副題がコナーの愛情、エリナーの涙だったらもう少ししっくりきたかもしれないなと思うけど、そんな事言ったら妻に「あ!?ふざけんなよ!」と返される気がする。多分そう。コナーの方が愛情深かったように思うんだけどねえ。
やっぱり監督の思惑通りの反応になっちゃうんだよな。男と女は考えてる事がちょっとズレてるんだ。面白いよね。

セリフが少なく、音楽もほとんど使われていないのですごく静か。物語も表面上はあまり変化しないので、人によってはとても退屈に感じるかもしれない。
そもそも、悪い邦題のせいで恋愛ものだと勘違いしてしまい、何だか面白くないと思っても仕方がないような気もする。
一応、恋愛的な要素が含まれていないこともないが、本当は幼い子どもを亡くした若い夫婦の、それぞれの受け止め方の違いの物語で、明らかにヒューマンドラマのカテゴリなのだ。
子どもが亡くなった事がわかるのが始まって少したったあとだし、その事をコナーもエリナーも終盤に一回話すだけで全く口にすることがないので、普通に気付かずに観終えてしまう可能性すらあると思うが、子どもを亡くした親の悲しみを理解できるならば、興味深く楽しめると思う。

ストーリーの面白かったポイントは、エリナーの愛情にも似たようなシーンがあったけれど、比喩的な息子の弔い場面のあとコナーの心境の変化があり事態が収束していくのがあるね。
父親との少ない会話の中で心の傷が修復していくのだけれど、直接的な描写はないし、その傷が本当に癒えることもない。それが唯一変化したなと思えるシーンで物語の転換点になった。
結局、癒えない傷にはどのように向き合うか、どのように付き合っていくかが大事なのだ。
それはエリナーに対する気持ちにも同じことがいえると思うが、こればっかりはエリナー側の気持ちの問題もあるからね。しかも答えはエリナーの愛情でって所が憎らしいよね。

もし、本作とエリナーの愛情の両方を観るつもりなら、こちらを先に観た方がいいと思う。物語のスタートがこちらにあるし、エンディングはエリナーの愛情の方にあるので。
だだ、エリナーの愛情の方が説明シーンが多く本当のストーリーを理解しやすいので、よくわかってから観たい人は逆がいいかもしれない。
場合によっては、同じ場面なのにコナーの涙とエリナーの愛情ではセリフが違ったので、それぞれ感情移入しやすいように作られている可能性が高いから、男性はエリナーから女性はコナーから観たら・・・って、結局どっちが先でもいいのか。

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つとみ