「今もっとも気になっている、「イスラムのテロを生み出すものは何か」に繋がる重要なテーマを秘めているように感じられてならない。」ジミー、野を駆ける伝説 kthykさんの映画レビュー(感想・評価)
今もっとも気になっている、「イスラムのテロを生み出すものは何か」に繋がる重要なテーマを秘めているように感じられてならない。
20世紀初頭のアイルランドだが、そこは昔からの教会や地主の力が強く、古い秩序に固執する意識が高いところのようだ。歴史にあるアイルランドの独立、その後のIRA活動とその変遷が背景となるこの映画、見終わってみると、今もっとも気になっている、「イスラムのテロを生み出すものは何か」に繋がる重要なテーマを秘めているように感じられてならない。
しかし、映画はそんなに難しいものではない。
ジミーは仲間たちとスポーツや美術、音楽、ダンスを楽しめる集会所を作った事から村を追い出されてしまう。そんな彼が10年ぶりに緑の草原の故郷、リートリムに戻るところから映画は始まる。そろそろ白髪も散らばるジミーだが、待っていたのは年老いた母と恋人、そして昔の仲間たち。彼は仲間たちの強い希望に促され、再び集会所を開く。しかし、古い秩序を主張する人々の暴力は止まらない。遂に、集会所は焼かれ、彼はまた故郷を追い出され、アメリカに送られていく。
今朝、恐ろしいイスラムのテロの犠牲となったなんとも悲しい日本人の死を知った。しかし、この映画は伝えているのはどちらが正しいか否かではない、追い詰めているものは何かだ。恐怖も貧困もない、秩序ある世界を生み出すものは、暴力や権力ではなく、どこにでもある、日々安らかな「スポーツや美術、音楽、ダンス」ということなのではないだろうか。
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