「楽しく嫌な話」ズートピア zhiyangさんの映画レビュー(感想・評価)
楽しく嫌な話
2D字幕で。ツイッターとかでガルパンばりに好い評をやたら見かけたから、結構ハードル上げて観に行ったのだけど、予想以上に面白かった。ジュディもニックも良いキャラしてるし特にニック。
草食獣と肉食獣が手をとって生活してると言っても、実際は「優等生」なジュディ含めて互いの種に対して偏見まみれだし、結局でかい顔をしてるのは肉食獣や大型獣ばかりで羊や兎はうだつが上がらないというか不遇な目に合ってるし、この辺の世界観は(特にアメリカの)現実を反映してるんだろうけど、結構ハードな設定が徹頭徹尾守られてて、まあラストこそハッピーエンドだけど逆に最後まで嫌な感じで話が進めるのも、なのにグイグイ引き込んでいくのもすげーなあと。ディズニーはハッピーエンドばかりと揶揄する向きもあるけど、この嫌な話を楽しみながら最後まで見られるのは、ディズニーでアニメだからってのが大きい気もする。現実を舞台に実写でやったらともすれば滅入る話になるかもしれない。
ストーリーも凄くいいけど、映像本当に綺麗で吃驚する。動物たちが映らないと実写かと見間違う。ジュディがアクセルを踏み込むところとか実写のカーチェイスが始まるみたいな興奮があった。CGが発達しまくるとアニメと実写の良いとこ取りみたいな感じになるのかも知れない。
一番印象に残ったシーンはニックがジュディを擁護して身の上話をするシーンとジュディが記者会見で知らず知らずの間にニックを傷つけまくってたシーン。ジュディは肉食獣への不信感ともとられて言い逃れできないことを散々言っておきながら、ニックに向かって「あなたは違うわ」と言うが、この言葉が、昔大学の講義か何かで読んだ本に出てくる、在日朝鮮人への悪口を家庭教師に言いまくったらその家庭教師(その本の著者)に自分は在日朝鮮人だと明かされた学生の言葉とそっくりそのまま同じで、個人的に結構唸ってしまった。あと女ガゼルのポップスター「ガゼル」の役をやってたのがシャキーラだと知ったとき。アデルちゃうんかい。