「頭のいい人が、誰にでもわかるように作った童話」ズートピア fall0さんの映画レビュー(感想・評価)
頭のいい人が、誰にでもわかるように作った童話
頭のいい人が、誰にでもわかるように作った童話って感じ。
「ひとを見た目で判断するのはやめましょう」「生まれつきに囚われない生き方もあります」っていういかにもお説教じみたテーマだけど、嫌な感じがない。テーマ以前に、映像とかストーリーとか、作品としてワクワクできるから受け入れられる。ジュディ元気で可愛い!ニックかっこいい!二人がどんどん仲良くなって協力プレイ気持ちいい!ってシンプルに楽しめる。
Let it goっていう言葉を引用しながら「ミュージカルみたいに何でも上手くはいかないぞ」っていう台詞があった(たぶん)けど、もしかしてアナ雪を対比に使ったのかな。「生まれもった資質を殺さない」がアナ雪なら「生まれもった資質に囚われない」がズートピア。
一捻りしたなって思ったのが、「事件の犯人は最高権力者でした」でオチなかったところ。"弱者"のウサギちゃんが諦めずに頑張って、威張ってる"強者"をやっつけた、ってストーリーじゃないのは21世紀らしかった。被差別者だったはずのジュディが無意識のうちに差別者になってて、一悶着あるのが良い。敢えてコテコテの展開を前半に持ってくることで、加害者と被害者の逆転が印象的になった。
"強者"が数的には少なくて"弱者"が圧倒的多数って社会構造、どっかで聞いたことあるなと思った。リアル…
知的だなと思ったのが、精神論とか根性論じゃなく、機転と協力で勝利したところ。私は「これ絶対ニックが肉食獣の本能に目覚めてジュディを襲うけど、友情パワーで本能をねじ伏せてピンチを切り抜ける胸熱展開あるだろ」とか妄想してたので、最初あのクライマックスはちょっと拍子抜けだった。けど、そんな展開になっちゃったら、ぜんぜん理性的じゃない。根性論に頼り切るハメになる前に、頭を使って回避しましょうね、という話だった。