「真摯な謝罪がよかった。」ズートピア だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
真摯な謝罪がよかった。
ひねくれた大人ですから、ストレートに綺麗事を並べて、愛だの絆だの家族だの友情だのを讃えるだけのお話は全くピンとこないわけです。
それでもなんかいいらしいよと聞くと、えー、めっちゃ子供向けっぽいじゃんよーと思いながら見てきました。
けっか、めっちゃよかったー。という感想です。字幕2Dでみました。
何がよかったか。それは世界をよくしたい、自分は正義だと思っていたジュディが、結構ハードな偏見をもっていて、自分の偏見によってニックをひどく傷つけ、また、肉食動物の排斥ムーブメントのきっかけを作ってしまったことを、悔い、真摯にニックに謝ったことです。
ちゃんと、謝るって、難しいと思うんです。
ただ、ごめんなさい、申し訳なかったというだけではダメなんです。何がいけなかったか、自分の過ちは何かに気づき、謝罪の見返りに許しを求めるのではなく、相手の気持ちを慮ることができるかどうかな訳です。いや、もっと多くの要素を踏まえて、あ、“ちゃんと”謝ってるなと思います。
まー、実世界でも物語でも、ちゃんとした謝罪って少ないんです。
そんなですからジュディの謝罪が沁みました。
そして、主人公のジュディが、差別に苦しんできたジュディでさえ、ひどい偏見を違和感なく持ってるということを描いているのが、現代的だなぁと思いました。
自分を普通のまともな人とおもっている人が
無邪気に披露する様々な偏見が、いつも誰かを傷つける。自分も絶対やってる。いっぱい傷つけられても来たけど、たぶん自分もやってる。それを減らすにはその現実を受け止め、まだ知らない様々なことを知ろうとすることだけだと思っています。
ブルーベリーのすりかえなど、サスペンス的なストーリーは読めました。悪くなかったですが。
そして、ディズニーはというか、アメリカの映画は絵が美しいですねー。予算の差なんでしょうけど。
1つだけ、足りなくないかと思ったのは、羊の副市長が、肉食動物を排斥しようとしたのは、肉食動物のそれまでの小型動物への振る舞いが引き起こしたことでもありますよね。そら、犯罪者が悪いのは、そうだけど、その要因を作った環境が、あかんかったことも大いにあるのでは?
事件が解決した、犯人捕まってよかっただけではなく、肉食動物の側の反省がなかったのがすこーしだけ残念でした。ライオン市長のことですよ?あなたのパワハラが遠因では?
ニックの切ない心情にも寄り添いましたが、もうそこは割愛で。長くなるばかりなので。