「ナマケモノのフラッシュが全部持って行った」ズートピア rai_sutaさんの映画レビュー(感想・評価)
ナマケモノのフラッシュが全部持って行った
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PVでナマケモノのお仕事シーンにやられて見に行って、ラストのスピード違反のシーンで完全にノックアウトされた。
ファミリー向けアニメとして肩の力を抜いて見るのも良いけど、深読みしてみるならば、ズートピアはやはりグローバル化した現代の地球における民族差別に対して問題提起した映画として描かれていることは間違いないでしょう。
ストーリー序盤では、ジュディの故郷(田舎)では肉食動物と草食動物が相いれない社会を構築しているのに対し、ズートピア(都会)ではそんな差別意識が克服された社会であるかのように対比して描画されている。
体格も生活環境もまったく異なる違う動物たちが文明の利器によって高度にバリアフリー化された一つの社会で共存しており、まさにユートピアとして描かれている。しかし、それほど高度に文明化された社会においてもやはり内在する民族差別意識は確かにあり、肉食動物の野生化という事件によって、今まで隠されていた動物たちの差別意識が表面化してしまう。
物語は真犯人の逮捕によって一応の解決は見るけれども、上記問題の本質的な解決には決して至ってはいないし、実際それらを完全に解決することは不可能なのだろう。
だからこそ、表面上だけを繕って仲良しごっこをするのではなく、ジュディとニックのように牙をむかずにガチンコで言い合える関係というものが現代において一番重要なのではないだろうか。
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