「祖父と孫」独裁者と小さな孫 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
祖父と孫
客観的に考えれば都合のいい話である。
これをヒトラーに例えたらどうだろう。
ある独裁国家が崩壊。独裁者は国内を逃亡。その逃亡劇の中、犯してきた我が政権や苦しませた国民を目の当たりにする…。
糾弾される事はあっても、罰せられる事は無い。
それどころか擁護され、逃亡の助けられも。
多くの国民を貧困にし、苦しませ、時には処刑すらしたというのに…。
これがこの独裁者一人だったら納得いかないだろう。
逃亡の同行者に救われた。
幼い孫。
その純真無垢な存在、瞳。
当初は“独裁者”と“後継者”だった。
旅芸人のフリして逃亡。
次第に“祖父”と“孫”になっていく。
序盤、町中の明かりを電話一本で明滅してみせて高笑いする二人。中盤、ひもじさの中、野鳥の卵を見付けて嬉しそうに笑い合う。その対比が印象的。
決して祖父と孫のハートフル・ロードムービーではなく、あくまで社会派作。
しかし最後は、それら悲しさとほろ苦い感動が絶妙に入り交じった。
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