「☆☆☆★★ 【毒をもって毒を制す】 いつもの様にキム・ギドク節炸裂...」殺されたミンジュ 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★ 【毒をもって毒を制す】 いつもの様にキム・ギドク節炸裂...
☆☆☆★★
【毒をもって毒を制す】
いつもの様にキム・ギドク節炸裂。暴力に対抗しうる最大の武器は、やはり暴力なのだろうか?それを自制する心が人間にはあるのか?本当の暴力とは何か?キム・ギドクが観客に問い掛ける。
終盤で将軍が「俺がライギョになってやる」と挑発する。
映画では併せ鏡の様な存在の二人に、最後は鉄拳制裁を与える結果になる。それを遂行するのは現場の言わば《作業員》。だがその前にある人物が、リーダーの前に現れていた。
1人8役らしいのだが(7役まで気が付いた)同一人物がこの映画の鍵を握っている。
このリーダーの住家に現れる2役は、暴力と平和との対比として。
隊の中に唯一存在する女のDV彼氏は、日常に蔓延る暴力の象徴として。
アメリカ留学の経験がある男隊員の兄は、言葉の暴力の象徴であり。取り立て屋として弱い人間に対しての暴力。
レストラン勤めの男隊員と、若い女性に対してセクハラ紛いの行為をする男は。客と店員:男と女と言った立場を利用する暴力の象徴として描かれている様に見受けられる。
隊員達の意見は割れ、次第に秩序は崩壊する。以下は私がこの作品を観ての一方的な感想ですが。一見すると暴力の連鎖の恐ろしさや、虚しさを扱っている様に見えるのだが。実はある程度の暴力が存在するからこそ、社会には秩序が保たれている…と描かれている様にも感じた。
極論になるが、死刑制度の有無や功罪にまで、話が及んでいる可能性すら秘めている作品とも言えまいか。
(2016年1月23日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター2)
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