SHARINGのレビュー・感想・評価
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箱根組木細工な“夢”
映画『インセプション』での、ストーリー展開や構成は、“夢”のエクセル関数入れ籠構造のそれであった。変数を含めた関数は、その参照セルの値が変わるとガラリと影響が変わる。只、それを映画でやっていたら収拾が付かないので、最初の答えに対してその変数を後から変えることで、結果を別方向に導くという展開でまるでタイムマシーンの如く、興味を引くプロットに仕上がっていた。
本作は似ているようで、しかしクローズアップの撮影手法を多用することでより主観的な演出で観客に訴える。構造自体は入れ籠なのだが、関数の中の入れ籠がマトリョーシカの如く奥深く潜る訳ではなく、ところかしこに散りばめられているような感覚である。その構造故、大胆なカットや、急激な場面展開、どこからが夢で現なのかが、その激しいスイッチングによって、観客を不安に陥れる。
だが、これはストーリーの後半。前半は、本当に冗長が続き、酷く睡魔に襲われる。飽きというより、それ自体、演出なんじゃないかと思わせる程の進行だ。たまに起こるその夢からのスイッチングの音効や場面展開によって、叩き起されるのだが(苦笑)
そしてロケは殆ど、立教大学の校内。多分、この場所を選択することがこの映画を残念なチープさを醸し出しているのかもしれない。大学校内での撮影は、学生映画のそれを連想させる。決して悪くはないそのストーリー構成や世界観の斬新さが、その場所の安易な選択によって台無しになってしまうように思われる。
もっとブラッシュアップすれば、邦画としての可能性をより強く印象づけ、邦画としての未来への希望を抱かしてくれるのだが・・・ハリウッドに対しても“がっぷりよつ”に対峙できる貴重なジャンルだけに、もっと可能性を魅せて欲しいと願うばかりだ。
そんな突っ込み処満載な映画な程、愛おしくなるのも又面白い。
紛れもなくホラー
早く映画が終わらないかなあと思いながら観ていた。
何かをチクチク、チクチク突かれ続ける居心地の悪さ。
感情を経験をシェアできるのだという傲慢さを突かれるからか。
いや、そういったシェアからは逃げたいという気持ちを突かれるか。
映画ごときに取り込まれないぞと高をくくって観ているのだが、気付くと「不安」をシェアしている。
紛れもなくホラー。
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大学の心理学部が舞台。
人の「不安」とは何かを解きほぐすのが心理学だが、解きほぐした筈の不安をもう一回シェイクする。その執拗さが真摯な映画だったなあと思う。
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