「闘いは続いていく」道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 闘いは続いていく

2025年7月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

驚く

斬新

ドキュメンタリー映画や劇映画を多数手がけている舩橋淳が監督。舩橋はアイドルのことを全く知らなかったためもあってか、NMB48を知らない観客向けに映画の中でかなり丁寧な説明している。ドキュメンタリーとしてオーソドックスな作りで、全体的に重く暗い雰囲気の映画に仕上がっているのが特徴で、取り上げるメンバーを少数に絞り、アイドルグループを現代の格差社会・競争社会の象徴として位置づけ、その中で苦闘する少女たちの姿を描いていた。

HKT48の映画とほぼ同じ時期に観た(いずれも地元には来なかったのでレンタルDVD視聴)が、両作の共通点の1つは中心テーマがメンバー間の人気格差だということ。グループの中心となり全国区の人気となるメンバーに対して、加入後数年を経ても下積みにとどまる者もいる。それでも踏みとどまる者、別の道へ進む者など様々なメンバーの姿が描かれているが、HKT48の映画ではある種のハッピーエンドに終わらせ、暗くなりすぎないように注意しているのに対して、NMB48の映画では「1つの闘いが終わっても、また新たな闘いが続いていく」というような締め方になっているのが印象的だった。個人的にはNMB48の映画のほうが好みだ。

もう1つの共通点は、それまでのAKBグループドキュメンタリーでは取り上げられていなかった「ファン」の姿が描かれていること。考えてみればファンというのは不思議な存在で、応援しているものがどうなろうと別に実質的には損も得もないはずなんだが、それでも応援せずにはいられない。誰だって何かのファンなわけで、映画で描かれているアイドルファンの姿は実はスポーツファンなどと何も変わらない。映画ファンとしての我が身を振り返ってみても、なかなか考えさせられるところがありました。

バラージ