「私の理解力のせいか、イマイチ楽しめず」薄氷の殺人 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
私の理解力のせいか、イマイチ楽しめず
映画マニアとしても有名なライムスターの宇多丸さんが「面白い」と絶賛されていた映画。前々から観たいと思っていましたが、ようやくの鑑賞です。内容については何も知らない状態での鑑賞でした。
結論から申し上げますと、正直あんまり楽しめなかったです。なかなか考えさせられるシーンとか美しい映像描写とか、「おぉ。」と感嘆を漏らすような場面もありつつ、しかしながらイマイチストーリーも理解できなかったし、登場人物の心理も分からないものが多かったです。しかしこれは映画の質が低いとかでは決してなく、単純に私の理解力不足のように感じます。全体的に台詞が少なく、登場人物たちの表情や仕草から心情を読み解く能力が求められます。
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1999年、中国で起こったバラバラ殺人事件。広い範囲に点在する15箇所の石炭工場で、次々に遺体の一部が発見されるという奇妙な事件だった。刑事のジャンが捜査を担当したが、容疑者が警察との銃撃戦で死んでしまい、捜査の手がかりが無くなってしまった。5年後、警察を辞めて警備員として働いていたジャンだったが、かつての同僚と久々に会った際に5年前のバラバラ殺人事件と似た事件の捜査を行っていると聞かされる。事件の容疑者である美しき未亡人のウーに接近し独自に捜査を始めるが、やがてジャンはウーに惹かれてゆき……。
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人物同士の関係性や心情や葛藤にフォーカスを置いた、ヒューマンドラマ的なサスペンス映画といった印象。
とにかく役者陣の演技が素晴らしかった。主演のリャオ・ファンはベルリン国際映画祭で最優秀男優賞を取っただけあって圧巻の体当たり演技。美しき未亡人を演じるグイ・ルンメイは、美しくて物憂げだけど瞳の奥が濁っているような、言葉では表現できない役を見事に演じきっていたように見えます。
食事描写も良かった。映画の中における食事はキャラクターの人間性を見ることができる重要な要素のように感じます。ジャンが食事をする描写が作中に3回くらいありましたが、そのどれも肉まんに似たような点心と、追加でスープやおかゆ。非常に質素なものです。