劇場公開日 2016年1月16日

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「自然な青春落語グラフィティ」の・ようなもの のようなもの りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自然な青春落語グラフィティ

2016年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

幸せ

森田芳光監督のデビュー作『の・ようなもの』の続編『の・ようなもの のようなもの』、公開が待ち遠しかった作品です。

東京・谷中の出船亭一門は、大師匠・志ん扇の13回忌追善一門会の準備中。ご贔屓衆の女会長の前で、師匠の志ん米が、大師匠の死とともに行方をくらませた志ん魚のハナシを出したものだからタイヘン。志ん魚がお気に入りだった会長は、志ん魚を高座に挙げないと援助を打ち切る、と言いだした。
困った一門では、30歳の前座の志ん田に志ん魚を探し出すよう命じたのであった・・・というハナシ。

森田芳光が創造したキャラクターをつかって全然別の噺を設えた、続編のようなもの。
これが功を奏した。
ストーリーなどあって無かった『の・ようなもの』を同じスタイルで続編なんぞ作れないし、それこそお蔵入り必至だったろう。

永年、森田組で助監督を務めた杉山泰一が初監督しているが、過去の森田作品の少しだけオマージュを捧げながらも、正統な青春コメディとして成立させている。
巻頭と巻末では『の・ようなもの』と同じようなエピソードを用いているが、巻頭の「カップルが坐っているベンチに、余所者が割り込む」エピソードで、筋の良さが窺い知れる。

オリジナルでは、フレームもカット割りもタイミング悪くて、笑うに笑えないエピソードだったものが、本作では、すんなりクスクス笑えるようになっている。
フレームとカット割りが実に自然なのだ。

翻ってみると、森田芳光監督の特徴は「不自然」。
いわゆる、常識的でないところが目新しかったのだけれど、ともすればギクシャクしていた感があり、コメディではセンスが悪いように感じていました。

りゃんひさ