「映画好きなら是非!」世界から猫が消えたなら kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
映画好きなら是非!
オムライスを食べるとき、パセリをそっとよける僕(佐藤)。悪魔(佐藤二役)が何かを消せばと言ったとき、つい「パセリ」と言ってしまうが、何を消すかは悪魔が決めること。電話を消すから、最後に電話したい人を選べと告げられ、映画館ミナト座に勤める別れた彼女(宮崎)を選ぶ。元々は間違い電話が縁で付き合ってた2人。世界から電話が消えると、彼女との関係までもが消えてしまう。
次に消すのは映画。毎日僕にDVDを貸してくれるタツヤ(濱田)に死ぬ前に観る映画を借りようとするが見つからない。そして、映画が世界から消え、タツヤが勤めるビデオ店も本屋に変わり、映画に関するものが全て消え去ってしまう。『メトロポリス』、『ライムライト』、『ブエノスアイレス』、『花とアリス』、『太陽を盗んだ男』・・・全てだ。
アルゼンチンのエピソードは唐突すぎて理解不能になりそうだったけど、旅先で知り合ったトムさん(奥野瑛太)が別れ際に交通事故死してしまい、人が死ぬということはこの世からいなくなることなんだと改めて知らされる僕と彼女。徐々に、消えるということがどういうことなのかを訴えてくる内容だ。大切な人との関係も消えてしまう・・・
次は時計が消える。僕の父親(奥田瑛二)は町の小さな時計店を営んでいる。母は病気のため他界したが、その関係も怪しくなってくる。そして、猫を消すと言われたとき僕は考える。大切なものを失ってまで命を延ばしていいものなのか?そして遺書を書くことになるのだ。
前半に、電話、映画と消えていく描写がわざとらしいほど素敵。映画ファンならば泣いてしまうかもしれない(笑)。猫のネーミングも子供時代に拾った時の段ボール箱からレタスと名付け、そして二代目はキャベツ。何となく、猫よりも映画が消えた方がショッキングだったのは映画ファンならではのことなのかもしれない。