劇場公開日 2016年5月14日

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「"何気ない日常"を愛する全ての人へ」世界から猫が消えたなら サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0"何気ない日常"を愛する全ての人へ

2021年3月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

「ジャッジ!」や「帝一の國」、「恋は雨上がりのように」などの名作を手がける永井聡監督でかつ、友人から強くオススメされていたので鑑賞することに。
特にこれといった前情報は取り入れず。

めちゃくちゃ面白いじゃないか!
もう凄すぎます、永井聡監督。あんたの映画全部面白いわ。

脳腫瘍が見つかり余命残りわずかと宣告された僕(佐藤健)は、宣告されたその日家に帰ると自分のことを悪魔と言う自分そっくりの人がいた。その悪魔は、この世から一つものを無くす代わりにお前の寿命を一日延ばしてやると言う。

キャスティングの妙。
意外とこういう役も似合うんだなと驚いた今回の佐藤健。るろうに剣心のようなカッコイイ役もいいけれど、泣き虫で優しい役の方が個人的には好きかな。
奥田瑛二もやっぱりいい。無口なんだけど、存在感があって不器用なお父さん役がピッタリ。映画が一段と引き締まる。
でも、今作で群を抜いて上手いのは濱田岳。
〇〇の1本を探す時の濱田岳には泣けてくる。普段は映画のことしか話さず、顔を見て話せないのにね。。。

そして、素晴らしい音楽と美しい映像。
あの不思議な音楽のおかげで始まってすぐこの世界観に引き込まれ、とっても綺麗な映像で追い打ちをかける。
映画館で見たかったなと後悔するほど、いい。

ラストに詰め込められた心地いい伏線回収の嵐。
ギリギリまで分からなかったことも、無理なく回収されスッキリしまた泣けてくる。キャベツは笑えてほっこり。あのシーン大好きです。

消えるを軸に四部作のようになっているのも面白い。
急に場面が変わり、時系列の難しさで混乱する。
一つ一つじっくり見ておかないと。と思わせるためにわざとやってるんだろうな。その作戦、成功です。

ただ、タイトルに猫を入れてるが猫エピソードはイマイチ。インパクトはあるものの、猫に関してがほかの3つに比べてめちゃくちゃ薄い。猫、愛してたんかな?

何気ない日常が煌めいて見える。
失うことで気付くそのものの偉大さ。
友人、恋人、家族。いつまでも続くと何故か思っている人生も、ある拍子で終わりを迎えるかもしれない。
今日といういつもと変わらない日を大切にしよう。

素晴らしい映画でした。
永井聡監督の次回作、キャラクターも楽しみだ!

サプライズ