「気になっていた映画」世界から猫が消えたなら オリタケさんの映画レビュー(感想・評価)
気になっていた映画
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シャイで純朴な青年でも、死を前にすると自分の中に悪魔を飼ってしまう・・・。
何かを消してまで命を長らえたいと思うのは当然だし、自分もそうする。
「前触れもなく突然死ぬより、寿命を知らされて死ねる僕は幸せ」という「僕」のセリフも、トムさんの死を描いた上でのセリフだから説得力があった。
死の宣告を受け入れる事は困難だけど、実際そうなんだろうなぁと。
母との思い出や彼女や友人との繋がりがない世界で生き長らえても意味がなく、「僕」の死を泣いてくれる友人や「あなたに会えて良かった」と抱きしめてくれる元彼女に見守られて死にたいと気付いた時、悪魔は消える。
この映画を見ながら、自分ならどうするだろうと思いながら見た。やっぱり「僕」と同じ思考行動パターンかな。
ラストの「僕」のように静かに死を受け入れられるか自信がないけど。
ところどころで流れる涙は、悲しい涙じゃなく暖かい涙。自分の大切な誰かを思い浮かべる優しい涙。
綺麗な函館の風景。劇中でのBGM。エンディングの曲。どれも好き。
個人的にはラストで「僕」がキャベツを自転車のカゴに入れて実家へ帰るシーンで流れてたBGM。あれが一番好き。
佐藤健さんと濱田岳さんが素晴らしい。今後も応援したい俳優さん達です。
この映画は、少人数のキャストそれぞれが光る演技で繊細に作られた良作だと思います。
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