「無敵の宮崎あおい」世界から猫が消えたなら かぴ腹さんの映画レビュー(感想・評価)
無敵の宮崎あおい
クリックして本文を読む
宮崎あおいの貫禄がすごくて、主人公が違うんじゃないかってくらい存在感がありました。幼顔の大女優がいつの間にか生まれていたのを実感しました。
映画の中では父親との確執の経緯があまり描かれていなかったので、原作を読みました。でも原作にもあまり書いていませんでした。でも別の発見がありました。映画のほうが原作よりずっとよかったです。
電話がなくなったことにより映画では元カノとの関係までなくなってしまい、喪失感が比べものになりませんでした。映画がなくなるとツタヤとの関係も。消える前に元カノが手紙で母親の手紙を出すというエピソードをつけたのはうまいことを考えたと感心しました。
世界から消えるということを文章で表現すると「なくなった」の一言ですが、映像で見せられるとダイナミックでした。スマートフォンが溶ける、DVDが本にすり替わる、映画館まるごとなくなる。この世からなくなったということが原作より実感できました。
そして文章ではどうしても会話以外に主人公の気持ちが綴られるので口数が多く感じられます。電話でないと彼女と話がうまくできないキャラクターを原作から想像するのは難しいです。でも、映画ならセリフしか言いませんから口べたなのがすんなり理解できました。
印象的だったのはブエノスアイレスの映像でした。空気の色までvividに見えて非日常がとても感じられました。回想シーンにありがちなフィルターをかけた映像ではないように思えましたが、あそこだけ世界が違って見えました。
優秀脚色賞に値する映画化だと思いました。
コメントする