「料理ができることって損しない」映画 深夜食堂 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
料理ができることって損しない
深夜0時~朝7時まで営業する居酒屋に集う人々を描く、エピソード集で、今回3話構成になっている。それぞれ健気に生きるひとびとのぶつかりと愛情が随所にみられて、スパイスが聞いた料理のように味わえる。その話しを象徴するような料理名がタイトルになるのがおしゃれ。
主人公のマスターがエピソードに大きく関わることはないが(とろろご飯編は関わるが)、静かに見守る視線は熱いながらも冷静で老成した落ち着きを見せる。どんな経験をしてきたかはわからないが思索深いひと、思いやりのある人なんだなと思うし、料理がうまいひとって、相手の気持ちがわかる人だと思う。
地方と東京の対比、方言と標準語の対比が、話しの幅をもたせていて、東京という街の憩いにはこうした様々な一見さんが知り合いや友達になれるような場所が必要なんだと思える。東京は田舎者の集まり、とはよく聞くことだが、それはそのままでは点のままで、そのつながる場所は必要だし、そんな場所にも行ってみたいと思う。
また、料理ができることって損しない。人は結局、シンプルで、何もしなくても何をしてもお腹が減る。それを満たすために、食事をおいしく提供することって、それができるだけで人の役に立てるし、何より自分の生きる術を身に着けることでもある。特に、家庭を仕切るときって必ず料理ができることが必須に思える。そんなことを思わせてくれる映画。
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