「素晴らしい」おみおくりの作法 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい
遺族への連絡が終われば case closed 極めて事務的。しかし、葬儀を執り行う際はとても細かく、流す曲のCDまで持参したり、神父の読む原稿も書いたりしている。そんなジョン・メイ(マーサン)も家族がいなく、孤独に暮らしている。アルバムには個人のそれぞれの写真が几帳面に・・・
ビリー・ストークの後処理をしようとした時、その案件を最後に突然の解雇宣告がなされる。仕事に時間がかかり過ぎることが理由だ。ジョンは写真をヒントにビリーが勤めていたパン工場の同僚を当たり、元恋人を当たるがどちらも葬儀には参列できないと呆気ない返事をもらう。恋人との間には娘もできていたのに。
ラチェット氏に解雇期限を3日ほど延ばしてもらい、さらに調査を続けるジョン。刑務所での面会記録を調べ上げて、ビリーの娘ケリー・ストークを見つける。彼女もまた参列をためらい、軍隊仲間だったジャンボを教えてもらい、さらに路上生活者を教えてもらう。刑務所ではベルトに噛みついたまま3分半ぶら下がったという逸話も聞いた。ビリーの破天荒な人生に触れたジョンは自分が買っていた墓地を彼のために売り、最高級の棺桶を用意する。
そして、ケリーから連絡が入り、葬儀には参列するという返事。半ば有頂天となり、彼女に会う時のための犬が描かれたマグカップも買った・・・のだが、直後にジョンはバスにはねられ死亡。享年44歳。彼の葬儀は誰も参列せず質素なものだったが、一方、同じ日に行われたビリーの葬儀には彼が会った人たち10数人が参列していた。
ただラストのワンシーンが凄い。墓地から彼が今まで扱った孤独死した人の幽霊が彼の墓所を取り囲む・・・
ラチェット氏の「弔う者がいなければ葬儀は不要」という言葉に共感するかどうか、たしかに死者は葬儀執行者に感謝しないのかもしれない。しかし、信念の仕事、そして死者に対する尊厳、為しえたことに満足するのは否定できない。
良い映画だったという記憶はあったのですが、
kossyさんのレビューを読んで改めて
「ああ~~そうだった!」と言う感嘆が蘇って来ました!
もう一度観たい映画です。泣けました!!