「酷評、ご容赦」王妃の館 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
酷評、ご容赦
冒頭から、赤ん坊を投げ落とすと言うとんでもシーンで一気に観る気を失った。
これはルイ14世の王妃マリー・テレーズが嫉妬して妾の子を殺すという場面で劇中の主人公の作家、北白川右京(水谷豊)の悪夢という設定、キャッチ―として刺激的なシーンを持ってきたのだろうが、この卑しいセンスに嫌気がさしました。
後にこの子プチ・ルイは足を悪くしただけで一命は取り留めていたと分かったが許す気は無い。
この監督、癖が悪いと思ったが案の定、短パンにカラータイツの作家とは、志茂田景樹さんがモデルなのか奇抜な衣装に棒読みセリフ、コメディをゲテモノショーくらいにしか思っていないのでしょうかね。ツアー仲間も不自然極まりないキャラ設定、役者も下手だから感情移入の対象が見つからない。
10億円もの製作費だから実現したのか、ベルサイユやルーブルのロケなどスタッフの交渉力は認めますが右京さんのドヤ顔での薀蓄披露は定番とは言え興醒めでした。
パリの名門ホテルがいくら金に困っても承知の上でのダブルブッキングなどするわけないし、同室に時差宿泊などすぐばれるのは子供でも分かるプロット。
原作は女性誌向けに起こしたパリを舞台にしたツァー客のドタバタ喜劇だから軽く流せるが実写になると妙にリアルさが邪魔をして成立しえない愚かな話、そこを力づくで描いても虚しい努力ということでしょう。浅田さんにして映画化は無理と言わしめた根本が分かっていなかったのでしょう。
ツアー客のドタバタだけではパリまで行って格調に欠けると付け足した劇中劇、サイドストーリーでしょうが、日本人で18世紀のルイ王朝ドラマを演じてもまるで学芸会、総じて雑な作りと映りました。喜劇の壺は人それぞれでしょう、酷評、ご容赦ねがいます。