「現代版も、明日は幸せ」ANNIE アニー ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
現代版も、明日は幸せ
映画化の情報を得た時は割とびっくりしました。「えっアニーなの?」と。正直“今更”感が強かったんですよ、最初は。最初はね。ミュージカルの老舗というか、手垢の付きまくった作品をここに来てぶっ込みますか、と。かなり前にも二回ぐらい映画化してるし「また同じことやるの?どうなの?面白くなるの?」という。ただ、キャストがやたらと豪華でしょ。ジェイミー・フォックスとキャメロン・ディアスとローズ・バーンって。この顔ぶれ揃えてきただけでもかなり気合の入った企画だと分かるし、ウィル・スミスが製作陣に名を連ねてるっつーしで(元々ウィル・スミスが大富豪役で自身の娘にアニーをやらせてって、父娘共演用の為の企画だったと小耳に挟みましたけども)、こりゃ一体どんな作品に仕上がってるのか!?と逆に気になってしまいまして。まあその程度の動機ですが。映画館にて鑑賞しまして。
設定を1933年大恐慌時代のニューヨークから現代ニューヨークに置き換えると、富豪は携帯会社(IT関連?)の社長となり、登場キャラクターに根っからの悪人は存在せず、そしてアニーは明るく奔放なまま(ここは不変ですな)。
改めて言いますけど、その“今更”じゃないですか、アニーって。映画で焼き直す意味あんのか?と本気で思ってたんです。けど観てみると、これがハッキリ言って悪くない出来でしてね。しっかり現代的な風味を取り入れてます。大筋な部分でストーリーは変わってないんですけども、にしても大分ね、細部からイジってます。「ああ、現代劇だな」って内容だし「現代劇のミュージカル映画だな」と。あと小ネタを頻繁にポコポコ入れてて(話に全く絡まないカメオ出演が滅茶苦茶豪華だったり)、そういう方面でも楽しませてくれて。
しかしこの映画を成功に導いたのは、やはりアニー役のクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんでしょうね。凄いでしょ、あの歌唱力。堂々としてて。ウォレスちゃん、『ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜』のハッシュパピーやってた子だったんですね。ああ道理で道理で、と。彼女の里親を名乗り出る大富豪ウィル・スタックス役のジェイミー・フォックスとの相性も良かった。これ、ウィル・スミスが演じるよりも結果的に良かったのかもしれませんね。あの絶妙的な軽妙さはウィル・スミスの醸し方とはまた違うというか、ケミストリーしてましたよ。
ミュージカル映画に、またひとつ名作が生まれたって感じですね。