劇場公開日 2015年11月21日

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「女の見てはいけない面を見てしまった」劇場霊 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0女の見てはいけない面を見てしまった

2016年4月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

単純

中田秀夫監督の新作ホラー。
売れない若手女優の沙羅は、脇役ながら新作舞台への出演が決まる。小道具としてある人形が使われた事を機に、奇怪な事件が起き始める…。

新作を発表する度に叩かれまくる中田監督。
本作もあちこちで酷評レビュー。
確かにもう「リング」以上のものを期待するのは酷かもしれないが、ハードル下げて見たせいか、思ってたより悪くなかった。駄作としか言い様がない「L」「MONSTERS」や怪作っぽかった「クロユリ団地」よりかは。

まずは難点から。
人形には魂が宿ると言われるだけあって、ホラーに薄気味悪い人形は付き物。
本作の人形も妙に人間っぽくて生々しい。
そこに居るだけで不気味。
…ところが、動いちゃうんだな、この人形が。
動いちゃうと途端にチープに。
って言うか、あんなおぼつかない足取りの人形、蹴り一発でも入れれば撃退出来んじゃねーの?…と、つい思ったり。
それから、ジャパニーズ・ホラーのお決まり。
序盤は抑えてじわじわ恐怖を煽るが、最後はドタバタ・パニックに。
今回、恐怖の人形に襲われるから余計滑稽に。

タイトルから中田監督のデビュー作にして出世作「女優霊」を連想するが、中田監督未担当の「リング0」を彷彿させた。
筋書きはありがちながら、役を巡って熾烈な争いをする若い女優たちのネチネチ、ドロドロした関係。
一見紳士的なくせに、主演女優に手を出す演出家。誘いを断られたら、演出でいびる。
むしろこっちの方が怖い(と思う)し、この愛憎ドラマこそもっと見たかったかも。

やる事なす事ネット上でディスられまくりの島崎遥香ことぱるる。
でもこうして見るとやっぱり可愛いし、大きな瞳は印象的で、演技もそう悪くはない。
演技は塩対応に非ず。

役が欲しい、あいつを蹴落としたい、あいつに居なくなって欲しい…若い女優たちの執念、妬み。
美貌が欲しい、血が欲しい、あなたの全てが欲しい…いわくつきの人形の怨念は、女のあさましさと貪欲と醜悪な部分。
女の見てはいけない面を見てしまった。

近大