「まるで大災害映画の様なこの映画を、戦争映画として8月に見る意義はあるのだろうか?」野火 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
まるで大災害映画の様なこの映画を、戦争映画として8月に見る意義はあるのだろうか?
2014年製作/87分/PG12/日本、配給:海獣シアター、劇場公開日:2015年7月25日
原作はよんでいない。1959年の市川崑監督作と比べると、銃弾も飛び交い戦争映画の側面は大きく出ていて、より共感はできた。功罪は不明だが、カニバリズムもより直接的に見せ、分かりやすくはなっていた。
戦争で起きたことを忘れないという意味で、2014年にこの映画を作ったということは大変に評価できるとは思う。ただ、日本が主体的に東アジア全域で引き起こした前の戦争を、大いなる苦難を経験した!というこの映画に代表させていいのかとは思ってしまう。
フィリッピンの地元住民を撃ち殺してしまうシーンはあるものの、戦争下での主人公が陥った超悲惨な状況の描写がどうしてもメインに思えてしまった。運悪く大災害を被ってしまった人間の描写の様で、加害者意識が無いだけでなく、こういう状況をつくった日本の指導者たちへの恨みも怒りも全く無いのは実にいけてない。原作がそもそも問題かもしれないが、戦争映画として歴史的な客観的視点という大事なものが欠けていると感じてしまった。
監督塚本晋也、製作塚本晋也、原作大岡昇平、脚本塚本晋也、撮影塚本晋也 林啓史、編集塚本晋也、音楽石川忠、サウンドエフェクト、北田雅也サウンドミックス、北田雅也助監督、
林啓史、スチール天満眞也、制作斎藤香織 山中亜矢子。
出演
田村一等兵塚本晋也、安田リリー・フランキー、伍長中村達也、永松森優作、神高貴宏、入江庸仁、山本浩司、辻岡正人、山内まも留、中村優子。
厳しいレビューでした。
自分は、疑似体験することが、同じことをするかどうかに繋がると思っているので、必要な映画なのだろうと思っています。米国の話ですが「シビル・ウォー」も同じ意味で必要な映画だと感じました。楽しいかって聞かれたら胸を張って「楽しくないです!」と答えますが、観なきゃいけない映画ってのもあるのかな、と思います。
共感ありがとうございます。
今回上映前に塚本監督の想いが語られたんですが、本当に反戦思想が基だったのか?ご本人が仰るんですから間違いないんでしょうが、根っ子には鉄男とかに通じるモノを感じますね。