「よかった」ミルカ 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
よかった
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速く走るのがとても気持ちがよさそうだった。オレは足が遅いので羨ましかった。誰よりも速く走る、しかも金メダルをとったり世界新記録を出すというのは一体どんな気分なのだろう。誇らしかったり、調子に乗ったりすることに一切ためらいがなくとても楽しそうだった。
メルボルンで女の子と遊び狂って調子を崩したのも、それはそれで楽しそうだった。あそこで人生が終わっても悔いがないくらい楽しそうだった。誰よりも足が速くて、きれいな女の子が優しくしてくれて、海で一緒にはしゃいで遊んだらそれ以上のことなどあるのだろうかとすら思った。
ただ、天才の話でオレとは無関係な他人事としか思えず、ただうらやましいだけだった。生い立ちにとても悲しい事件があってそこは同情するのだが、オレ自身そこまでつらい思いをしたことがないのでやっぱり遠い国で別の時代の身近じゃない人の話で、なんら実感が湧かなかった。
難民キャンプで大人に逆らったり蒸気機関車から石炭を盗む場面がすごくよかった。あの負けん気の強さは素晴らしい。見習いたい。
インド映画はリアリティの基準がゆるすぎる映画が多く、ちょっと苦手なのだが、この映画はかなりしっかりしていてよかった。
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