「心理映画?」オオカミは嘘をつく Natsumiさんの映画レビュー(感想・評価)
心理映画?
主な登場人物は3人。
小児性愛者の容疑者とそれを追う刑事、被害者の女の子の父親(老けすぎ)。
いきなり容疑者がきつめの尋問をされるところから始まるので、観客はおそらく大半が彼の味方になる。
なぜ彼が逮捕されたのかという描写はなく、観客に与えられる情報は「彼が容疑者」ということだけ。しかも見た目が「ハエも殺せなさそう」。おまけに中学教師という職も追われ、完全に可哀想な人。
しかし彼にどうしても自白させたい一人の刑事が、停職期間に容疑者を拉致しようとする。しかしそこに被害者の少女の父親が参戦する。
父親は刑事と容疑者の頭を殴って気絶させ、「ある目的のため」だけに引っ越した家に連れ帰る。それは地下に拷問部屋がある家。
刑事も父親と一緒に拷問に参加するが、どうにも胸くそが悪いようで、一向に拷問は進まない。
ちなみに父親は、娘がされた通りに拷問するつもりだった。手の指を全部折り、足の爪を剥ぎ、首を切断するー
途中いろんな邪魔が入ったり、刑事も囚われてしまったりするが、完全に父親が鬼畜で悪者な印象を与えたまま物語が進む。
途中から父親の父親(この2人がどちらもおじいちゃんで、親子に見えない)がなぜか拷問に加わる。こいつもかなり頭おかしい。拷問止めろよ!っていう。
結局嘘の頭のありかを教えて、逆上した父親に首を切られて息絶える容疑者。
逃げ出した刑事は自分の娘が行方不明なのを知り、容疑者の元へ戻るが、時すでに遅し。
最後容疑者が笑ったように見えた…。
見ようによってはただの拷問映画で不快だし、実際前半30分くらいは眠気に襲われた。
しかし、誰が悪なのか見届けたいのと、物語ラストへの期待が徐々に高まり、後半は興奮状態。(拷問シーンが痛そうだったし)
結局最後にやっと容疑者が犯人だったという描写がされるんだけど、だからといって父親の拷問が正当化されるかというと…という感覚。
容疑者が犯人だとわかったうえでもう一度見たとき、観客の心理に変化はあるのだろうか。
現在のイスラエルの状況とリンクするように作られているらしいが、そのあたりは無知でわからないので、あくまで映画の感想です。