木屋町DARUMAのレビュー・感想・評価
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烏賊墨スパのパスタ無しを2L飲む
題名は映画とは一切関係は無い。それ位重い重いテーマの作品である。
ヤクザ映画なんてものは正直怖くて観るのを避けてきたのだが、今回、遠藤憲一主演ということで、興味を持ち拝観。
只のヤクザ映画ではなく、四肢切断の江戸川乱歩に由るところの『芋虫』になったヤクザがそれでも生を諦めず取立屋となって、浪速金融道&闇金ウシジマ君よろしく、その異様な姿態で債務者を恐怖に陥れるのだが、その間に、ドン底に堕ちた債務者の家族、世話をするヤクザや兄弟分のドロドロの関係性が重層的にストーリーを紡いでいく。
その救われない内容に益々もって辛さと苦悩が伝染していくようで、下流社会の目を背けたくなるようなリアリティが訴えかけてくる。曰く『おまえの直ぐそこに転がってるんだよ』と・・・
なぜ『ダルマ』になってしまったのか、その真相究明も同時に進んでいき、借金に溺れた債務者のダメ人間(姉弟のグズグズな関係、聾唖な娘におんぶにだっこしている父親)ぶり、犠牲となる家族(借金のカタに底辺の風俗に売られる娘、聾唖者にマルチ商法を売り込む娘)、そして報復の連鎖等々、多少の救いがあっても結局は全て泡と化す人生の世知辛さに、ラストの救われないバッドエンドと相俟って、観覧後の精神の落ち込みに渋谷の街中を歩き回りながらクールダウンせざるを得なくなる、そんな苦しい映画である。しかしだから映画がダメだと言うことではない。昨今の生温い映画よりも何倍もリアリティを追求している映画であることは疑う余地もない。
これだけの精神を追い詰める映画はなかなか巡り会わないのではないだろうか、そんなことを考える自分は本当に優しく温い人間そのものである。同じダメ人間として、心痛いほど理解出来、そしてその死んだ方がマシな生き地獄を疑似体験させて貰える、そんな心を掻き毟られる内容である。
個人的には、娘役の武田梨奈の迫真の台詞と演技に女優魂の可能性を感じたのであった。
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