「.」悪魔は誰だ 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
.
クリックして本文を読む
自宅(CS放送)にて鑑賞。原題『몽타주(英題:"Montage")』。全篇に亘る濁った色彩が重い人間ドラマによくマッチしていた。韓流作品の邦題には「悪魔」がよく附けられているが、15年前の幼児誘拐殺人事件から始まるこの物語の“悪魔”とは誰を指すのか、邦題の示す通り、観る者によって変わるのではないだろうか。場面毎に印象が変わる“ハン・チョル”のS.ヨンチャンが素晴らしかった。終盤で真相が明かされた後、どこに着地点を持ってくるかと思ったら、余韻を残す拍手喝采の見事なウルトラCだった。75/100点。
・『コピーキャット('95)』や『模倣犯('02)』の様なイカレた動機による犯罪ではなく、共感出来そうな哀しい連鎖を描く。時系列を変えている構成も効果的。韓流は心の機微や闇を切り取るのが巧い。
・確執に凝り固まった鬼気迫る執念の母“ハギョン”のE.ジョンファ、それに引き攣られつつ動かされ、15年前の少女の死に際がトラウマな熱血漢“チョンホ”のK.サンギョンと、二人の説得力のある堂々とした演技に惹き込まれたが、本作は恐らくこの先の二人の代表作になるであろう。
・欲を云えば、リアルな反面、どうしても地味目な印象に映ってしまう事と、“知能犯”と呼ばれた犯人が裁判以降、妙に素直でしおらしいのがご都合的にも思え、もう少し悪足掻きがあっても良かった気もするが、本作のテーマと全体のバランスを考えれば、現状でいいのかもしれない。尚、ハリウッドでのリメイクも決まっている。
・鑑賞日:2016年7月1日(金)
コメントする