「こんなにも真摯で知的で刺激的な作品は─」ニンフォマニアック Vol.1 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなにも真摯で知的で刺激的な作品は─
基本的にラース・フォン・トリアーの作品を嗜好する者です。なので、これほど、いやこれほどまでに性に対して真摯で知的で刺激的な作品は、ポルノ含めても、稀なような気がするし、見たことがありません、彼のほかの作品以外では・・・まさにこれまでの集大成といった印象です。
LVTを嗜好するといっても、ドグヴィルはかなり苦手で、いや大嫌いで、もう彼の作品なんて見たくないと思ったほどでしたが、ついつい見てしまったメランコリアが非常によくて、やっぱいいよなLVTなどと思い直したものの、この作品の公開当時は、彼の作品では地球はなくなったわけだからメランコリアの次の作品など有り得ないし、それより長すぎるよ!などと思ってしまいパスして、近年ハウス・ジャック・ビルトを見たわけだが、やっぱおもれーと思ったわけで、そんな中、レトロスペクティブというリリースを見て、この長尺の作品を思い切って観賞しておこうと─。
果たして─、冒頭のとおり素晴らしいものでした。
一瞬だけ、どこぞで配信とかしてないかと思い検索すると、この地域では公開されていません、などというイラつく結果・・・。まぁそれも何気に劇場へ赴く後押しとなりましたが…。観賞後、これは公開されないはずだわと納得し、観賞しておいて本当に良かったと思っています。
映像も音楽も雰囲気もリズムも、とにかく自分にとって彼の作品は非常に合うのかもしれません。長くても終始飽きないし、ぐいぐい引き込まれます。内容も凄いとしか言いようがありません。何でこんなこと思いつくのか─、安易に使いたくはない言葉ですが、天才としか─。
確かに性描写は激しいし、変な解釈をされかねない作品だと思うので、観賞するのは慎重になるべきかとは思いますが、非常に優れた作品であることは間違いないと思います。