劇場公開日 2014年12月20日

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「ポランスキーの願望」毛皮のヴィーナス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5ポランスキーの願望

2019年8月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

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知的

“マゾヒズム”の語源とされるドイツ人作家、レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホ。
氏の背徳小説『毛皮を着たヴィーナス』にインスパイアされた、ロマン・ポランスキー監督作。

『毛皮を着たヴィーナス』の翻案舞台化の為、女優のオーディション中の脚本家で演出も手掛けるトマ。自信家で傲慢。
そのオーディションにワンダという無名の女優が遅れて現れるが、粗野で品性も知性も無い彼女にうんざり。
強引に押し切られ、渋々オーディション。すると、役も台詞も完璧に理解した彼女の演技に驚かされる。
オーディションを続ける内に、二人の立場に変化が…。

マチュー・アルマリックとエマニュエル・セニエの二人芝居。やり取り、熱演は見物。
『毛皮を着たヴィーナス』の映画化ではなく、それをモチーフにしたストーリー展開がユニーク。

相手を支配する側だったトマ。
そんな彼がワンダとのオーディション芝居を続ける内に、彼女の魅力に陶酔。支配する側から支配される側へ、今まで感じた事の無かった感覚に快楽を感じるようになる…。
一見、著名作家の名作小説を題材に、人の奥底の欲や本質を掘り下げ…と思えるが、
何で事の無い、SMに目覚めちゃった男のブラック・コメディ。

これは男にとって、願望か、恥辱か、戦慄か。
にしても、トマがポランスキー本人に見えて仕方なかった。

近大