「丁寧な脚本が気持良い」マダム・マロリーと魔法のスパイス 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)
丁寧な脚本が気持良い
最近観賞した映画がことごとくインド率の高いものばかりで
映画の国インドへの世界の映画産業の食いつきっぷりが
なんだか凄まじい〜(笑)
インド料理とフランス料理と言う全く反対に思える料理同士ながら
それでも解りあって最後は良い終わり方をするのだけど
全く違って見えても、ベースとなる一番大事なもの、
食材そのもの新鮮さや質の高さを大事にする所が共通するから
最後は解りあえた。
同じ様に文化や習慣が違っても人として一番大事なもの
命や愛する者への思いが共感出来たから最後は解りあえた。
一番大事なモノへの理解さえあれば争いは解決する。
そう書いてしまうとちょっと陳腐に聞こえるけれど
その辺を説教臭く無く、丁寧なエピソードの積み重ねで
きちんと納得させてくれる脚本が本当に素晴らしい。
主演のヘレン・ミレンとインドのお父さん役のオム・プリの
丁寧な演技はもちろんの事。
流石にレストラン映画だけに
料理シーンの見せ方の工夫と美しさが際立つ!
包丁を使うシーンがその直前の話の成り行きと
上手くシンクロしていたり
ソースを作るときの混ざり方が実に滑らかで美味しそう。
最初に出て来たムンバイのレストランの
粗野だけど美味しそうな香りに溢れている厨房に比べれば
最後に出て来る最新フレンチの分子料理の厨房が
まるで実験室の様でかなり味気ない。
その落差もこの物語のシェフの気持をよく表していると思います。
このところシェフもの映画を幾つか観てますが
肝心の料理シーンが印象的な作品が以外に少なかった事に
この映画を観て気が付きました。
唯一この映画で突っ込みたいのはシャルロット・ルボンが演じる
フレンチの副シェフの髪型。
1つ星レストランの副シェフともあろう人が
なんだか風呂上がりにタオルを巻いたままみたいな格好で
厨房に立つのはちょっと戴けない。
美的な方を優先したのでしょうが、十分に美人な女優さんなので
キリッとコック帽を被せた方が、メリハリがあって良かったのでは?
副シェフに見えない、ただの下働きのバイトみたいでした。