「哀しく激しく壮絶な血の因果」GONIN サーガ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
哀しく激しく壮絶な血の因果
バブル後、社会から弾かれた男5人組による暴力団事務所襲撃とその顛末を描いた鬼才・石井隆監督の1995年の人気作の続編。
洋画が「マッドマックス」なら、邦画は「GONIN」!
翌1996年に作られた「2」は微妙だったけど、「1」は今見ても色褪せない鮮烈なバイオレンス・アクション!
その正統なる続編を作るなんて容易じゃないけど、世界観もスタイリッシュさもバイオレンスもそのまま。
やはり石井監督が手掛けたのが最大のポイント。
設定も良かった。
あの時散った男たちの…ではなく、殺されたヤクザたちの方の遺児が主人公。
あの時命を落とした組長の遺児・大輔は、組の再興を夢見ていたが…。
あの時命を落とした若頭の遺児・勇人は、組長を守れなかったと母親共々切り捨てられ真っ当な人生を歩んでいたが…。
あの時現場に駆け付け巻き込まれ命を落とした警官の遺児・富田は、何故父が死ななければならなかったのか追求し…。
しがない今の自分。
それぞれ抱えた父の無念。
これが運命だったのか、それともこうなる因果か、彼らが交錯した時、また新たな哀しき血が流れる…。
話は「1」と直結。登場人物の関係も複雑。
「1」の映像を挿入しながら丁寧に説明してくれるが、やはり一見さんお断り。予習は必須。
今やベテランとなった「1」のキャストと比べると、今回のキャストはやはりインパクトに欠けるが、世界観にはそれなりに合ってると思うし、熱演は称えたい。
そして、根津甚八。
うつ病を患って俳優を引退した彼が、「1」と同じ役で本作一回限りの復帰。ただそれだけで感激。
流された無念の血を、遺された者が血で晴らす。
それはあまりにも凄惨で哀しく、激しく壮絶。
その姿を目に焼き付けよ!