「赤犬のインパクト。」味園ユニバース ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
赤犬のインパクト。
関東圏に住んでいるとタイトルがどこを指すのか分からない^^;
そこで調べてみると大阪千日前にある商業ビルで、こっちでいう
新宿ゴールデン街と並ぶサブカル発信地、嘗てそこにキャバレー
「ユニバース」があったのだそうだ。さらには今作で歌われる楽曲
「古い日記」の和田アキ子は、デビュー前ダンスホールの専属歌手
だったという。わー。なんか歴史に彩られてるなぁ感がもの凄い。
登場する「赤犬」という青春歌謡バンドも本人達を使っているから、
この場所に馴染みのある観客ならかなり入り込めるだろうと思う。
対して馴染みのない私などは、すべてが新鮮で見たことがない図
が満載、好き嫌いは結構分かれそうだが、全編が大阪文化だった。
そこへ二階堂ふみが参入しているが、まるで違和感ないのが立派。
ネイティブが聞いても遜色ないらしいのでさすがの演技力である。
主演の渋谷すばるの歌唱力が凄いというのは、以前に見たことが
あり(NHKカバーズ)、確かその時も「古い日記」を熱唱していたので
個人的にビックリ感はなかった。確かに彼は巧いが、御本人は女で
更に凄味があったのだから(子供には)恐怖のゴッド姉ちゃんだった。
(あの頃は~!て言うと、はっ!って返す遊びが流行ったなぁ^^;)
今改めて聴いてみると説得力ある歌詞に泣けてくるが、他の楽曲も
すべてサラッと歌いこなすので、確かに渋谷君は逸材かもしれない。
しかし内容の方は、その歌に勝る説得力に欠け、見世物に終わった
感がかなり強い。主人公の生き様に共感できない上、記憶が甦った
あとの行動も迷惑ハンパない。二階堂演じるカスミの熱意と優しさ
が彼らを引っ張っている映画で、やはりマネージャーって大切だと
心から感謝する人が続出したかもしれないな。命あっての歌声だよ。
(大切に生きてよね。しかし赤犬のヴォーカル、可哀想すぎないか?)