「ハミッドの気持ちに同情しちゃう!」雪の轍 ku-chanさんの映画レビュー(感想・評価)
ハミッドの気持ちに同情しちゃう!
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の最後の三本の映画を最近観たが複雑な構成の中にいくつかテーマがあるような気がする。しかし、これらのテーマや人物を全部追いながら約三時間観ることは疲れる。雪の轍というこの映画は主人公エイデンとエイデンの親の代から家を借りていて今家賃が何ヶ月も払えない状態のイスマイルの家族の関係、特にイマン(イスラム教を伝える人)を仕事にしているのイスマルの弟ハミッド(甥のイリアスが車の窓ガラスを割り、それを弁償しようとする人)との関係に焦点を置いて考えてみた。そして、主人公エイデンはアル中の伴侶と離婚して居候をしている姉(妹?)や妻や、他の登場人物とも、問題を抱えているが彼の性格にもよるものだと思う。
それは、このテーマで、結局、人はそれぞれ価値観が違うが、その違いをどう歩み寄るかで、コミュニティーや家族と生きていけるかだと思う。実はそう勝手に思うだけであくまで自分の意見だ。
イスマイルの子供イリアスは石を投げてエイデンの車の窓ガラスを割って逃げるが追われて水の中に落ちてしまいずぶ濡れになってしまい、風邪をひくといけないのでエイデンたちがイリアスをうちまで送った。イリアスの父は獄中生活をしたためシャバに出てからも仕事が 得られず酒浸りで偏屈男のなってしまった。エイデンたちをイリアスのずぶ濡れの体を心配しているから、第一声に『川に落ちた』ことを伝えるっが、イスマイルはすぐ弁償しろということだと勘ぐってしまう。家賃を滞納していて冷蔵庫テレビも取り上げられていて追い立て人が入って屈辱を与えている家族にガラス代をすぐ弁償しろとは言いにくいのかもしれない。その後、イスマイルの弟ハミッドは話し合って一部を少しづつ弁償するため、エイデンの裕福な家を訪れる。エイデンは彼の名前をまともに覚えていないようだし、彼の汚れている靴を足でよける。彼が遠くから歩いて冬のぬかる道を来たなんて全く想像もしていないようだ。二人の会話も、ガラス代70リラだったと思うけど、大したことないよという。ハミッドのもって来ているお金では足りないことはハミッドの表情で明らかに伺える。そしてよく覚えていないので電話をかけて実際の値段(170 リラ)を確かめるが、これはハミッドにとって、驚愕の値段。でもそんなものだよとエイデン。エイデンの言葉や態度からではハミッドの心境を全く理解していないようだ。ハミッド一人の給料で、家族五人を養っていて家賃を滞納しているのに家主のエイデンは何一つ、わかってあげようともとしないしどうでもいいという態度で、そして、もう私のところに来ないでくれ、任せているものと直接話してくれと。ハミッドに出されたクッキーやティーなんてエイデンにとって日常茶飯事だろうが、ハミッドのクッキーをすぐさま食べる様子から察すると、めったに口にしているものではないと感じる。自分と生活レベルが雲泥の差のともいえるハミッドが遠いところから徒歩で、甥の行為の代償を直接謝まりに来て、お金を渡そうとしているのが(高金額すぎて期待はずれ)いたたまれなく、また、ハミッドのおどおどしている目の表情からそれが伺えるのがいたたまれなかった。エイデンはトルコの99%はモスリムだというが、モスリム は神を愛しているなら秩序を保ち、神に好かれるように、綺麗にして生きるべきだと(うまくいえてない)。神の子なのだから、コミュニティーのモデルになるべきだともいって、ハミッドの家族のような生活の人たちはモスリム の風上にも置けなないと思っているようだ。
それにもまして、エイデンは子供の頃電気がない生活をしていたと。こういう生活の経験者が同じような境遇の人の気持ちがわからないというのは、移民なのに、今の移民問題に理解を示さない人と同じだ。エイデンの無頓着な態度と心のなさに、私自身がハミッドに労いの声をかけたくなった。
姉(妹?)からの言葉だと思うが、3つ大事なことをエイデンに言った。これは私個人にも必要な言葉だと思い、自分も考え直さなければいけないと思った。
1)人そのままのを受け入れなさい 2)人をジャッジ(判断)するな。3)もっと柔軟になれ
ところでこの映画の舞台は広大な自然の中、カッパドキアであるが、この辺はオマーシャリフが『Monsieur Ibrahim』という映画のためきたところだとエイデンかだれかがは言っていた。そして、その映画の演じることは全て「正直」についてだと。
最後に、ジェイラン監督の観ていない映画作品、「読まれなかった小説」『昔々、アナトリアで 』そして 「雪の轍ウィンタースリープ」を観た。長編で各3時間という時間をとって映画を見ることは毎日の生活に置いて大変だった。雪の轍の最後の方の会話、エイデンとエイデンの友達と小学校の先生との会話に集中できなかったし、これは5日間ぐらいかけてみた映画なのでよく理解していないと思うし記憶も薄れたと思う。残念だが、疲れてもう一度見る気にはなれない。また、来年の真夏にみるわ。