マルティニークからの祈りのレビュー・感想・評価
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通達遅延。
タイトルだけではまるで想像がつかなかった内容に驚いた。
これは告発映画か?と思える韓国外交通商部の描き方に呆然。
更にこれは実話だという…「追跡60分」というので紹介されて、
初めて世間が知ることになったという事件。麻薬密輸の罪で
無知な主婦が管轄のカリブ海仏領マルティニークの収容所に
移送されてしまったという。そこで裁判がなかなか行われず、
彼女は2年もの間拘留される。信じられないような事実だが
発端は夫が知人の連帯保証人になって多額の借金を背負い
借金返済のために怪しい仕事を持ちかけられたが、それを
妻が身代わりで行った、金の原石かと思ったら麻薬だった、と
そこまでは実にありがちな事件だった。恐ろしいのはその後、
次第に痩せ細り病に倒れてしまう妻だったが…。何とも過酷な
状況をチョン・ドヨンが体当たりの名演。自業自得&無知過ぎる
とはいえ、そんな国民を平気で見捨てる官僚の実態は恐ろしい。
そして帰国後…かなり経ってからの通達内容に大失笑。
(夫婦揃って安易に考えすぎ。簡単に儲かる仕事なんかないぞ)
社会派と家族のドラマ
うむ。なぜ犯罪を犯したかについてはちょっと納得はいったが、確かに家族自体は悪い部分もある。ある意味、妻が被害者ではあるが、一番悪いのは夫という面が見える。信用しすぎて借金を返すためとはいえ、妻とロクに相談もせずに勝手にドンドンと話を進めてしまっている所はイマイチ感情移入ができない父親だった。
冒頭は空港から始まってタイトルコールから上記の展開を時間軸として描いて進んでいき、冒頭と繋がる所から壮絶な母親のドラマを描きながらも事件を描いていく構成。
そこからの展開はとにかく胸糞悪い。
確かに、家族たちは悪い部分はあるが、通訳を送らなかったり、犯人が自供してくれて裁判ができたはずなのに、てきとうな仕事をし、裁判が長引くことになってしまったりなど大使館の領事と部下の対応があまりにも酷い。さらにフランスの刑務所での黒い部分もあってさらに胸糞悪い。
家族が悪かろうがこれは韓国の恥をフランスに見せてしまった事件なのだ。
そういった胸糞悪い部分を徹底的に描きながらもドラマを丁寧に描いているので、終盤のなんとか裁判をさせてあげようとする国民たちの部分はグッときたし、娘とやっと出会う部分は泣いてしまった。
見終わった後、怒りの方が強くて大使館の怒りばっかりだったが、よく考えたらこれは家族の一歩成長するドラマだったことがわかった。
最初のシーンでどこか距離がある家族が最後で一つの家族として写真を撮るラストシーンは大使館の部分を笑いに変えていたのも含めて考えさせられながらもどこか良い余韻が残って良かった。
これはドキュメンタリーも見てみたいな…。
とにかく嫌韓には鼻につく演出がちょっとあるのであまりオススメはできないけど社会派が好きな方はぜひとも劇場で見てみてください。
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