グッド・ライ いちばん優しい嘘のレビュー・感想・評価
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【スーダン内戦により、祖国を追われた幼き血縁関係にある男女が、米国に救われつつ、文化の違いに迷いながら生きる姿を描く。ラスト、リーダー格の男が選択した優しい嘘のシーンは沁みます。】
■アメリカ・カンザスシティーの職業紹介所で働くキャリー(リース・ウィザースプーン)は、アフリカ大陸のスーダン内戦で両親を亡くした難民であるマメールたちを空港に迎えにいく。
キャリーに与えられたのは、電話を見るのも初めての彼らを就職させるという最難関のミッションだった。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・前半の幼きマメール達が、スーダン内戦により祖国を追われ、エチオピア、ケニアに向かう姿は痛々しい。
ー 逃避行の中で、命を落とす者、リーダー格であった”テオ・ヤング”とはぐれてしまう彼ら。-
・だが、ケニアのカクマ難民キャンプに辿り着いた、マメール、ジェレマイヤ、ポール、そして女性のアビタルは”ロスト・ボーイズ”として、米国・カンザスシティに到着するが、アビタルだけは別の所に移住することになる。
ー 驚き、哀しみつつもそれを受け入れる彼らの姿。-
■米国との文化のギャップに驚きながら、適合しようとしていく彼らの姿が、少し笑えて沁みる。マクドナルド、不自然な作り笑い(少し、笑える)、電話の音に”警報だ!”と身構える姿(少し、笑える)、キャリーの片付いていない家にオレンジを持って行ってあげる姿。(少し、笑える)
ー 皆、死線をかいくぐってきたためなのか、優しいんだよね。-
・そんな、彼らの姿を見て、彼らが就職先で起こすトラブルに対応していく中、キャリーの意識は変わって行くのである。
ー そして、彼女が実行した事。それは、家の中を整理し、イロイロと掛け合って、アビタルを自身の家に引き取るのである。歓声を上げるマメール、ジェレマイヤ、ポール達の姿。少し沁みたよ。-
■そんな中、彼らのリーダーだった”テオ・ヤング”を探しに、マメールはカクマ難民キャンプを訪れ、“自身とそっくりな“テオ・ヤング”と再会する。
そして、マメールは“テオ・ヤング”に、”一緒にアメリカに行こう”と説得し、一緒に空港に向かうのである。
<ラスト、マメールは“テオ・ヤング”に自身のパスポートを渡し、”俺は、カクマ難民キャンプで、医師として働くから・・。”と言って、彼を米国に送り出すのである。
資料によると、今作の原案は実話から着想したモノであるそうである。
今作は、全世界から、戦争が無くなれば良いのに、と思いつつ、人間の仲間を思い遣る姿が沁みた作品である。>
知っておくべき事実
アフリカの内戦や難民問題は、知っておくべき事実だと思う。
子供達だけで何百キロも命がけで移動して、着いた先は難民キャンプ。
そこでは衣食住の心配は少ないものの、その先のフォローは?彼らはどうやって生きていくのか?
アメリカ行きを喜ぶ彼ら、ふるい落とされた友人(この人がまたいいやつ!)。
手を差し伸べるアメリカは偉いと思うけど、規則規則だし、関わる人達が難民について理解して受け入れているわけではなさそうだし。そして規則云々とうるさいわりには、ほったらかしに見えるし。
仕事を得るのも大事だが、もっと理解してる人が関わるべき。
キャリーという人があまり好きになれず。上から目線とか、物言いがなんだか、ね。(役柄かもだけど)
生まれ育った土地で家族と幸せに暮らせるのが一番だと思った。
学び
世界には困難な状況にある人が沢山いること、多様な価値観に溢れていること、作品を通じて自分自身の視野が広がる知的な作品でした。スーダン内戦で生き延びた少年達が大人になったその後の事も初めて知りました。
私達自身が、ちょっと想像力を働かせ、難民である彼らの背景を知る努力をすれば、もっと寛容な社会になるのかなあと思います。この作品は、外国人に対してマイナスのイメージがある人にも是非鑑賞して欲しいと思いました。
観てよかった
途中、自分たちの感覚で、慣れない環境にいる元難民に親切にしないアメリカ人にイラッとしたが、これがあるいはもっとひどいのが現実かと思った。
2時間の映画で描くことを考えれば、最大限、彼らを取り巻く状況が描かれているように思った。
賞味期限切れの物を捨てねばならず、拾いに来た人に与えるジェレマイア、それを間違いとする職場を辞めた彼の姿は、どんな社会で生きていても、イチ社会人として忘れてはいけない大切なものだと思った。
人として、辛い経験をした人にあたたかな手を差し伸べることこそ、難民にならずに済む社会に生まれたラッキーな者のあるべき姿だと考えさせられた。
グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜
内乱で親が殺され過酷な逃亡を余儀なくされたスーダンの兄弟にとって、異国での生活は目新しい事ばかりだが、生来陽気で真面目な彼等の一挙一動が(彼等の無知さ故とは次元の違う)新鮮なユーモアと涙を呼び覚ましてくれる。
“急ぐなら一人で行け 遠くへ行くなら一緒に行け” (アフリカの諺)
監督:フィリップ・ファラルドー
美しい映画でした
前半のスーダンの内戦、リアルに描かれてました。
そこでグイッと引き込まれて、そのまま最後まで一瞬一瞬が美しい。そんな映画。
ああ、人間って美しい!
どういった経緯で難民が出て、どうやって生き延びて、難民の受け入れ先でどうやって暮らして、どんな気持ちでいるのか、そこに関わる人達のこととか体験しないと本当にはわからないけど、痛いほどわかる。
「難民→移民→虐げられて心が折れてテロリスト or 犯罪者になる人達がいる→移民って怖い」の構図をイメージしちゃう昨今に、こんな真っ当な人たちも普通にいるんだよって語りかける映画でもあり。
社会派の重苦しい映画かと思いきや、爽やかな気持ちになれるエンターテイメントでもありました。
無難にイイ話
幸せに暮らすとは何か?と考えさせられる作品。
死と隣あわせで生きてきた彼らは、
「生かされている」意識が強く、
自分の命が儚いことを知っているように感じた。
平和な日本で育った自分にとっては得難い価値観で、
表面的にしろそれに触れられたのは良かった。
ただ作品としてはキレイすぎる感も否めず。
「難民 → 守るべき → 善」みたいな構図は
ちょっと偏っているのかなとも感じた。
まぁ「良い嘘」をテーマに掲げてる訳なので、
これはほとんど難癖に近いんだけども。
序盤でなかなか壮絶なシーンが続きますが、
全体的におとなしめだから子どもと観てもたぶん大丈夫。
悪くはないんだけど「普通にイイ話」から突き抜けてはいないかな。
ピュアな人達
スーダン難民について描かれており、勉強になった。
ただ、いい話だけど住んでいる世界が違うためか共感しづらい。
彼らは自分の命や住処に意地汚い執着を見せない。
でもそれは多分、幼い頃から命のやり取りが日常茶飯事の環境だったからこそで、
平和な国で育った身としては人がそんなに潔く振る舞えるとは思えず、
リアリティのない綺麗すぎる物語だと感じてしまった。
邦題センスなさすぎ
生きるため生かすための嘘を中心としたストーリーだった。作中に色んな嘘が出てきてその度に泣かせられた。難民の人たちは私たちの想像を絶する経験をして生きてきたんだと思うと、申し訳なくなってきた。
しかし、焦点を合わせるところが多すぎるという気がした。色んな人の生き様を見た感じだから、二人に絞って詳しく見ていきたかったと少し残念に思う。
なんか…重いのに軽い印象を受ける。
でも、この映画は今を考えると上でとても価値のあるものだと思う。
悔いなく生きていくってこういうこと。
最後にマメールが下す決断はビックリだけど、
すんなりとそれを受け入れるお相手にもびっくり。
実話題材なだけに、そこにリアリティがw
自分の人生を、他人のせいにせず自分で決めて生きていければ
困難な道のりであったとしてもエネルギッシュに進んでいけるのかな…と
ぼんやりを考えさせられる作品でした。
アカデミー主演女優賞を受賞されたにも関わらず、
リース・ウィザースプーンのモブっぽさよ。
生命の根幹にある大切なことは生きる過程で自然と培うものだと教えてく...
生命の根幹にある大切なことは生きる過程で自然と培うものだと教えてくれました。道徳は座学で学ぶものでも言葉で覚えるものでもない。それが、ものや情報が溢れ、可能性が広がる世界にいると見えづらくなるのかも。
家族や仲間。絆は大切。シンプルかつそれが全て。
●故郷とは。
考えさせられる映画だ。
物語はまず、スーダン内戦の実態に時間をかける。移民後の話だと思ってたから、心を鷲掴みされた。なんの罪もない人々が虫ケラのように殺されていく。日本でのほほんと暮らしている自分とは、天国と地獄ほど差がある。避難すべく、東京・広島くらい、900kmもの距離を歩く。生きるために肉食獣のおこぼれに預かる。ションベンも飲む。兄貴は捕まる。弟は死ぬ。
そして、からくも助かった彼らたちの家族の絆の深さ、純朴さ、故郷への想い。会いたいのに会えないもどかしさ。助けてくれた人への心から感謝の気持ち。心が洗われる。もちろんラストは号泣だ。相当なトラウマ。まさに想像を絶する。
移民後は、アメリカナイズな資本主義とのギャップに戸惑う彼ら。クスッとさせるシーンもあり、ホッとする。しかし最後につくやさしい嘘が切ない。日本でも震災の影響で故郷に帰れない人たちがいる。本当に気の毒だ。故郷とは。家族とは。身につまされる。
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