「じんわりハートフル、オカマの安田顕も素晴らしい」小川町セレナーデ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
じんわりハートフル、オカマの安田顕も素晴らしい
物凄くグッと来るところまではいかないながらも、程好い感じでいい映画を見た余韻に浸れる作品でした。
よくよく考えると結構テーマは重たかったりもするのですが、そこまで重くは感じさせないような、肩の力がいい感じに抜けたような作風が妙に心地良かったです。
人生は上手くいかないことの方が多い、そして人はいろんなものを抱えて生きている生き物ですが、この映画を見たら、大々的に何かを得られる訳ではないですけど、抱えていたものが少しだけ軽くなるような、そんな程好いぐらいに心に響く、良作映画だったなと思いましたよ。
舞台となったちょっと寂れたスナックの哀愁漂う雰囲気も、たまらなく愛おしかったですね。
須藤理彩が演じた真奈美の生きた証とも言える様な、そんな佇まいが、そしてそこに関わる人々の人間味が、とても魅力的に映りました。
まあ見てる時は小川町がどこの町なのか知らないで見ていたのですが、川崎だったんですね・・・娘が上京するような描写があったので、もっと東京から離れた田舎なのかと思っていましたが、でも作風にピタリ合った良いロケーションだったと思いましたよ。
前半の真奈美と娘の小夜子の生きてきた過程を丁寧に描いた辺りも、とても感情移入し易くて好感が持てました。
生きる為に、娘を育てる為だけになりふり構わずスナックを経営してきた真奈美、そんな母親に感謝しつつも自分の名前が付いたスナックは大嫌いだった小夜子、その2人とスナックを中心とした何とも言えぬ人間模様、人間愛が、不器用なんだけど愛おしかったですね。
太ったスナック店員を演じた小林きな子も妙にリアリティのあるキャスティングで、いい味出していたなぁ。
まあでもこの映画は、何と言ってもオカマの安田顕に尽きる映画でしょうね。
そっち系には詳しくないんで、これがリアルなのかはよく分かりせんが、恐るべし役作り、偽変態仮面も素晴らしかったけど、こっちも素晴らしかった。
娘との関係性や真奈美との関係性が、ちょっぴり切なかったけど、最後は心が温まりました。
ダンスシーンも見応えあって良かったです!
小夜子役の藤本泉も、美人なんだけどちょっと幸薄い雰囲気が絶妙に嵌ってましたね。