「原作、脚本、演出、編集その他がうまくいって、まとまっているいい映画だった。」新宿スワン Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
原作、脚本、演出、編集その他がうまくいって、まとまっているいい映画だった。
風俗のスカウトの話などと聞くと、胡散臭くて、ドロドロしていて、後味が悪くなるようなイメージがあるけど、そうでもない。
確かに作品の世界観はそういう感じなのだけれど、主人公の白鳥はすごくいいやつ。
掃き溜めに降りてきた鶴みたいなイメージです。
原作ではそれほど感じなかったけど、映画の方はその辺が強調されていました。
題名の由来は知らないけど、だから「新宿スワン」なのか?とこの映画見て思いました。
仕事もなく、金もなく、行き詰った若者、白鳥(綾野剛)が新宿に流れて来る。やけくそのケンカぶりを見た、スカウト会社バーストの真虎(伊勢谷友介)は一目で気に入り、面倒を見てやることにする。白鳥は真虎の部下として、スカウト会社バーストで働き始める。そんな時、同じ新宿のスカウト会社のハーレムと抗争になり、新人の白鳥はその矢面に立たされる。そのハーレムには秀吉(山田孝之)という新宿制覇を狙う男がいて、過去に白鳥と因縁があったようだが、白鳥は覚えていない。バーストとハーレムの抗争、そして秀吉との因縁のゆくえは・・・?
この映画は、細かい変更はいろいろあるけど、完全に映画オリジナルの部分はなく、ほぼ原作どおりで、読んでいる人なら、誰でもここまでやるだろうと思うところまで実写化しています。
原作を変えないパターンだと、独自性はVFXや演出で出すみたいな映画が多い。
VFXはあまり使えないから演出で、ということになるけど、なかなかよかった。
抑えぎみだけど、ちゃんと園監督風の映画にもなっているし、原作の意図とは違うのかもしれないけど、言いたいこともわかった。
原作、脚本、演出、編集その他がうまくいって、まとまっているいい映画だった。
でも個人的には、原作のキャラクターと、出演者のイメージが、伊勢谷さんの真虎以外あまり一致していような気がした。
けれど、沢尻さんのアゲハは、原作のイメージとは合っていないけどよかったと思う。
演技その他、経験豊富な感じが出ていたし、誰のアイディアか知らないけど、カラーコンタクトレンズが、ナイスだった。
でも、役だからしょうがないけど、沢尻さんには性格的に弱い役ではなくて、もっと強い役やってほしい気がした。
もし次回作があるのなら、沢尻さんはそういう役で、出てくるはずなので、すごく楽しみです。