「頑張る俳優。」極道大戦争 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
頑張る俳優。
映画は監督のものなので、好きなように作ればいいんだけど、
本当に好き放題やるとこうなります!と教えてくれる作品が
このところ相次いで公開された気がする。これもそのひとつで、
三池がずーっとやりたかった原点回帰がこの作品なんだそうだ。
作り手にとって(特に三池とか園子温は)観客の望む分かり易い
作品を撮ってばかりだとつまらなくなってきちゃうのだろうと
(創造力限られちゃうしね)それは分かるのだけど、勢いこれを
観せられた観客は、例えば幼児が思いきり画用紙に描いた絵の
感想を聞かれ「んー、えーと、これは何の絵なのかな?」という
あの困った感じ^^;そのものである。まず何なのか分からない。
でも勢いだけはあるらしく(爆)先生から褒められたりしている。
分かる人には分かるんだ。そう思って楽しんでしまうしかない。
私的にはもっとコメディだと思っていた。噛まれたら皆ヤクザ、
なんてすごく面白そうじゃん!期待しちゃうじゃん!…だけど
観てみたらたいしてそんなシーンないじゃん!?という脱力感。
いや、ヴァンパイア化はするんだけど笑える感じではないのだ。
任侠アクションバトルに近い。西部劇っぽくもある。ゆるキャラ
が凶暴だという、誰かに挑戦を投げかけている感まであったり。
どう解釈するかはお好みで。っていう感じか。いや、特に客の
ことは考えて作ってはいなさそうだ。気持ちよくやってるだけ。
そこで俳優陣に目を向けてみると、私は市原隼人の真面目さに
胸を打たれた。こんな映画なのにすごく一生懸命だ(誉めてます)
アクションも頑張ってる。台詞も思い入れたっぷり。彼が汗水
流して(ヤクザを誉めるのも憚られるけど)やり返している姿が、
痛いほど胸に沁み入る。役者魂だなぁ…リリーやでんでんなどは
いつも通りしれっと演技しているからその対照的な姿が面白い。
(品川のゾンビ映画ともまた違う。しかし皆噛むのが好きねぇ^^;)