「人類が滅んだ後の電脳世界のおとぎばなし。」ガラスの花と壊す世界 るるる〜さんの映画レビュー(感想・評価)
人類が滅んだ後の電脳世界のおとぎばなし。
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本編は約1時間の中編SFアニメーション。
主人公のキャラクター逹はアンチウィルスプログラムを便宜上擬人化したもので、登場人物はみなデータであっていわゆる生物学上の人間は回想を除き一人も出てきません。
時間、場所、あらゆる物質的なものは、かつて存在していたものをデータ化して保存、適時解凍しウィルスチェックや更新が行われ、ウィルスに侵食されているデータを発見した時には速やかに圧縮消去。
そんな機械的な役割を実行するだけのプログラムに何かのきっかけで人格や感情、意識が芽生えたらどうなるのか?
人工知能をテーマにした著作や表現物は昨今隆盛を極めていますが、人類滅亡後の電脳世界という究極のテーマを扱うには少し時間が短すぎたんじゃないかなと思いました。
中編で捌くには難しいテーマだし、折角の視点の良さが十分には伝わりきらなかった可能性があります。
キャラクターは可愛らしいし、映像も美しいです。音楽もいい。本当に勿体無かったと思います。
伊藤計劃の『ハーモニー』は人類のユートピアの臨界点到達までを描き、機械に管理される社会下での意識消失型の滅びを描いたと思うのですが、こちらは管理世界へ移行後、人類滅亡を経た電脳世界で、人格を獲得したデータ達が人間的な営みをトレースすることで何か希望の様なものを見つけていく物語。
できれば長編で観てみたかったなぁ。
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