「本当に"誰もいなくなった"…。」サボタージュ 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)
本当に"誰もいなくなった"…。
思いっきりネタバレになってるし、若干推測も入っているので、もしこのレビューを見る方は自己責任でお願いします。
まず簡単にまとめると、想像以上に見応えあった。てっきりシュワちゃんはヒーロー側でトラウマ克服するかと思ったら、むしろ克服どころかますます歪んでいく。それどころかトラウマの原因が明らかになっても、安心どころか闇が増す。こんな謎めいた主人公をよくシュワちゃんは演じたなぁ…。最初馴染めないかなって思ったけど、終わったあとにはすっかり馴染んでたし、本当に新境地を開いてた。安心できないのよ、今回のシュワちゃん。
きしくも"ターミネーター経験者"のサム・ワーシントンは不憫だった。実は彼が裏切り者で、シュワちゃんと最後ドンパチかと思ったら、後述する"二人"と同じ本作唯一の"良心"だったなんて、"箱"の展開を思い出すとビックリだったし、可哀想でしょ!!仮にも『アバター』でブレイクした人にこんな展開、大丈夫なのって見てて思わず不安になってしまったほどですから(苦笑)
で、"良心"を担う他の二人がグラインダーとキャロラインなんだけど、前者のギャップには驚いた。存在感が最早犯罪者にしか見えないのに、仲間を静かに思っていたり、シュワちゃんには本音を打ち明けるところなんか、彼だけでも生きててほしかったって感情移入したほどだし。演じるジョー・マンガニエロって役者さん、初めて演技を見たんだけどこの人がいたから、只のアクション映画じゃなかったんだな。退場させるには惜しすぎるキャラだったから。あと後者のキャロラインだけど、最初に出てきた印象は高圧的な刑事だったけど、主人公のトラウマを知ってからは表情がどんどん面白くなってきた。刑事と女性の二面性とか、怖がった顔と冷徹な顔とか、結構何層もありそうな性格が重なってて飽きなかった。オリビア・ウィリアムズの演技も何一つ違和感なかったし、このキャラだけでも見る価値あるね。
他にも真犯人の正体とか、事件の全体像を想像するとかアクション映画にも関わらず、また見たくなる仕掛けが多い!監督のデヴィッド・エアー氏は『フェイク・シティ』が冴えなかったけど、今回は全然逆の面白さ!!カタルシスはあまりないけどね…。