「あらゆる要素のごった煮感」サボタージュ ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
あらゆる要素のごった煮感
正直、余りよく出来た脚本ではないと思います。よくシュワちゃん主演引き受けましたよね。脇もやたら豪勢でしょ。サム・ワーシントン、テレンス・ハワード、ジョシュ・ホロウェイにミレイユ・イーノス。なんかがんばってますよね、このキャスティング。
んーとね、んー。なんというか、お行儀が良くないんですよ。アクションも入れたい、サスペンスも入れたい、ミステリーも入れたい、グロも入れたい、あれも入れたいこれも入れたい、てのは観てて痛いほど分かるんですね。分かるんですけど、それにしても欲張りが過ぎませんかね。話の方向が一体どっちを向きたいの?ていう。
一本串が通ってないというか、物語の醍醐味を果たしてないというか。「犯人は一体誰なんだ!?」という推進力で以ってずっと展開を進めてた筈なんですよ、この映画。なのに「えっそこあんま重要じゃなかったの?」的に、後半で犯人捜しどうでも良くなっちゃうんですね。「はあ?犯人お前だったの?動機が薄くね?推理要素とかなくね?」ていう。もう勢いだけでやってるのか、なし崩しなんですよね諸々が。なのにアクションでの人体破壊描写だけはやたらと生々しくて、臓物だらけの切り株状態で。
まあ全体的にとっ散らかっちゃってるのですよ。
いや、最終的な命題というか、話の終着地点、目的みたいなもんはあるんですけど、そこに行き着くまでが、もうまどろっこしいことまどろっこしいこと。
と、DISりの感想ばっか述べましたけども。じゃあつまらないの?となると、これがまた厄介モノで。全然、面白いのですよ。カオス過ぎて。上記でのマイナス要素を全てプラスに引っくり返して観ていくと、こんなごった煮の唯一無二な映画もそうそうないよね、と。
はー、なんだかんだ、楽しかった。