「特殊部隊シュワちゃん!」サボタージュ 熊平さんの映画レビュー(感想・評価)
特殊部隊シュワちゃん!
まず最初にマイナスな部分からになってしまうが、サスペンスとアクションの要素が中途半端。
仲間割れや猟奇殺人といった「一体誰がこんなことを・・・?」といった部分がクライマックスに繋がってこないということ。
ネタバレありなので言ってしまうと、最後はシュワちゃんが金をふんだくろうとする裏切り者を始末し、「シュワちゃん」が金を1人で頂いてしまう。その使い道とは、かつて家族を殺した麻薬組織のメンバーへの復讐。
メキシコへ飛び、現地警察から情報をもらう為の「情報料」としてこの金を使用するのだ。その後の展開は是非劇場で観てもらいたいのだが、個人的にこの結末ならば「仲間割れ要素」は必要だったかな?というのが正直なところ。
私の理解が悪いのかもしれないが、裏切りの仲間と麻薬組織に共通点が無い為、無駄に話をややこしくしてしまっており観てる側は「?」が浮かんでしまうかもしれない。更に、裏切った仲間は何の為に金を独占しようとしたかったのか「動悸」らしき説明が無いので、これもまた「?」が浮かんでしまうし、そうこうしているうちに勝手に事故って死んじゃうし。
こんな変にまどろっこしさを味わうくらいなら、今までの王道にそって「特殊部隊VS麻薬組織」の真っ向勝負にさせるか、裏切り者要素を加えたいのならば、これまたお決まりになってしまうが「敵組織と繋がっていた」という設定の方が分かりやすいのではないか?
そして個人的に1番気になってしまったのは「音楽面」だ。
音楽は作品のそれぞれ場面を印象的にする要素を担う重要なものだと思っているのだが、この作品にはそれがない。
とくに終盤でのカーチェイス&銃撃戦は、せっかくシュワちゃんがカッコよく攻防戦を繰り広げているのに、音楽の存在が無い(かかっていたかもしれないが印象には残っていない)ので盛り上がりに欠けてしまう気がした。
あの場面なら、カーチェイスが始まった瞬間にロック調な曲でもかければ、どんなに熱い気持ちになれたことか。
(個人的にはMethods of mayhemの「Crash」なんかがピッタリな気がした)
なので、せっかく「特殊部隊」という設定にシュワちゃんを始めとした素晴らしいキャスティングがやや活かし切れていない印象もあるが、良い部分ももちろんある。
より現実的な戦闘スタイルを展開するシュワちゃん達の動きは観ててカッコよく思えた。
例えば、、「特殊部隊」という設定でのシュワちゃんは過去の作品と被ることのない。今までの作品だと、1人で敵のアジトへ乗り込み、一発でドアを蹴破り、真正面から銃を撃ちまくって、制圧完了!!
というイメージほとんど。
しかし今回は特殊部隊ということで、ドアは鍵部分を撃ち抜いてから突入→各隊員すぐに脅威がないかチェック「クリア!」の掛け声→移動中も周囲を警戒→次の部屋へ。など戦闘スタイルが全く異なる。
途中の銃撃戦では(シュワちゃんではないけど)FPS視点。つまり射撃する人間目線の映像が取り入れられたりとミリタリー要素が強く反映されているのではと感じるし、人間味あふれるキャラ設定は気に入っている。シュワちゃんのファンやミリタリー好きな人は是非観に行ってもらいたいと思う。