「そして皆愚かだった」サボタージュ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
そして皆愚かだった
アーノルド・シュワルツェネッガー主演のクライム・アクションだが、元ネタはアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』。
しかし、原型まるでナシ!
麻薬取締局の荒くれ者揃いの特殊部隊。
麻薬組織摘発の際、1000万ドルを盗むが、逆に何者かに盗まれてしまった。
やがて仲間が一人一人、何者かに殺されていく…。
この“仲間が一人一人、何者かに殺されていく”という所が『そして誰もいなくなった』的要素なのだろうけど、そんなの、アクション映画ではよくあるような…?
1000万ドルを盗んだ犯人は?
仲間を殺していく犯人は?
シュワ演じる隊長の悲しい過去…。
題材や設定は面白味あるのに、決定的なまでに話があまり面白くない。
話より、それ以外を重視している気がした。
銃撃戦などアクション・シーンは見応えあり。
凝った見せ方など、アクションのこだわりを感じる。
過剰なグロ描写は気になった。
何だか話やアクションよりグロ描写にこそ力を入れてるように感じた。それほどリアルにたっぷりと見せる必要あったのだろうか?
骨太なアクションにした方が良かった気がする。
仲間を殺していく犯人と1000万ドルを盗んだ犯人は、別。
殺しの犯人と真相は結局は金に目が眩んだ仲間割れ。
盗みの方は…、捻ったつもりが何となく途中で予想出来た。
登場人物誰もが、己の欲や復讐の為だけの愚か者。
監督のデヴィッド・エアーはアクションをメインに手腕を奮う職人だ。
でも今作は、わざわざ『そして誰もいなくなった』を下敷きにし、大物シュワを迎えてまで、何をしたかったのか…?
まだまだ現役バリバリのタフでありながら、年相応の枯れ具合も感じさせるシュワの役柄は悪くない。
今後こういう役を中心にやっていったらいいと思う。またマシーンをやるよりかは。