「文化大革命始末記。」妻への家路 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
文化大革命始末記。
1977 年に終息した筈の文化大革命がその後、何年、経っても尚、人々を苦しめるという悪夢のような筋書きなのですが、この監督の描き方は往時の権力者の過ちを声高に責め立てることはなく、あくまでも市井の人間のメロドラマとして、情感豊かに描いていきます。ハリウッドの資本で映画を撮る前のチャン・イーモウが戻ってきた、という感じがします。
残念だったのは、公開二日目なのにも拘わらず、観客の入りが二割程度だったことです。もしかしたら、昨今の中国に対する悪感情が反映されてのことなのかもしれませんが、最近の日本映画の堕落ぶり(小学生向きか、と思われるような拙劣な実写作品が雨後の筍の如く製作されているのにはあきれ果ててしまいます)を考えると、この作品は近年、稀に見る、大人の鑑賞に十分耐えうるものとなっています。私も中国共産党は大嫌いですが、そのことを以てしてこの映画を観ないのであれば、非常に勿体ないことです。
手練の演出、抜群のカメラワークを観るだけでも、十分、お釣りが返ってくる、そんな映画です。
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