「見逃すのが惜しい映画」南営洞1985 国家暴力、22日間の記録 恩田かーやさんの映画レビュー(感想・評価)
見逃すのが惜しい映画
タイトルも読めないのに観に行って、すみません(/。\)
拷問+実話。
恥ずかしながら、この二つに興味をそそられて、新しいパターンの残酷さを期待しつつ、映画館に足を運びました。
確かに拷問は、理不尽で残酷ではありましたが、目新しいものではありません。
取調官も、主人公を痛め付けながらも上司に内緒で眠る事を許してみたり、戯れに酒を飲ませて自分と彼女の不仲を愚痴ってみたり……
それなのに何故、この理不尽が終わらないのか?!観ていて、そこが不気味でした。
高い教養を持つ主人公が、食事を与えられず、久しぶりに差し出された食事を「食べられるうちに!」とばかりに急いで口一杯に頬張る。
その姿に胸が詰まります。
人としての尊厳がどんどんと壊されていく姿。
昔、拉致監禁されて非業の死を遂げた女子高生の事件を思い出しました。
その時も、この様な空間ではなかったのか?と……
宣伝ポスターの取調官達の呑気な笑顔と主人公の少し呆けた表情がまるでメイキングシーンを切り取って作ったようにも見えるのですが、その緊迫感の無さが逆に内容の残酷さを際立てています。
ラストはなんとか救いのあるものになっていますが(実話なので書いてもいいかな~と)
その前に、人が人である場面に救われます。
観ている内にどんどん体が強張ってきて終わった後には変な溜め息が立て続けに出ました。
多分、体が、自分で自分をなだめているんだなと思いました。
これは観る価値のある映画です。
思想の自由とか政治的な背景とか難しい話じゃなくって、この憤りを体感して尚且つ、その感情を自分の身の内にしっかりと仕舞っておいて欲しい。
蛇足:アップリンクの椅子はゆったり可能のデッキチェアぽい物なので、まるで自宅でおっきなホームシアターを観ている気分に浸れますq(^-^q)
私は密かにお気に入りです。