プレーンズ2 ファイアー&レスキューのレビュー・感想・評価
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プレーンズ・ウィンド・アンド・ファイアー。 航路変更が功を奏した、意外にも見どころのある続編。
乗り物が生き物の様に暮らす世界を舞台にしたレース・アドベンチャー映画『カーズ』シリーズのスピンオフにして、レーサーに憧れる農業用飛行機ダスティの挑戦を描いた『プレーンズ』シリーズの第2作。
世界一周レースで優勝した事により、一躍スターレーサーの仲間入りを果たしたダスティ。しかし、無理が祟ったのかギアボックスが故障し、選手生命の危機に陥ってしまう。さらに、ヤケを起こした彼の行動により滑走路で火災が発生。大事には至らなかったものの、消防設備の不備と消防車の人員不足を指摘され、町の空港は閉鎖されてしまう。
責任を感じたダスティは消防士の資格を取るため、ピストン・ピーク国立公園レスキュー隊に訓練入隊するのだが…。
○キャスト
ダスティ・クロップホッパー(日本語吹き替え)…永山瑛太。
ピストン・ピーク国立公園レスキュー隊の隊長、ブレード・レンジャーの声を演じるのは『トゥルーマン・ショー』『ゼロ・グラビティ』の、名優エド・ハリス。
「飛行機」という子供が大好きなものを主人公に据える事で大ヒットを飛ばした前作。その続編である今作では、「飛行機」に加え「消防士」という、これまた子供が大好きなものをミックス。大好き×大好き=超大好き、というハンバーグカレーやコーラフロートの様な安直な…もとい豪快な発想の映画となっている。
本作は前作からわずか1年というショートスパンで公開されている。もちろん長編CGアニメが1年で作れる訳ないので、これは『1』と『2』を同時進行で制作していたという事なのだろう。なかなか強気な態度である。
消防士映画といっても、本作の題材となっているのは『バックドラフト』(1991)の様な都市火災ではなく森林火災。
2025年1月にカリフォルニアで発生した大規模な山火事は記憶に新しいが、やはり消防士と言われると2013年6月にアリゾナで発生した「ヤーネンヒル火災」が真っ先に頭に浮かぶ。アメリカ史上最悪の山火事と言われるこの火災では、消化活動に当たっていた消防士20人のうち19人が死亡するという悲劇が起こった。その顛末は『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)という映画で描かれている。
本作の制作は公開の4年前から始まっていたというのでこの火災とは関係ないのだが、結果として犠牲となった消防士への追悼の様な作品となった。
『カーズ2』(2011)ではレース映画からスパイ映画へとジャンルがチェンジされたが、この『プレーンズ2』もその流れを引き継ぎ、レース映画から消防士映画へと作品のカラーが変化した。
正直『カーズ2』の極端すぎる路線変更には顔を顰めたが、本作ではこの路線変更、いや航路変更はシリーズにとってプラスになっている。というのも、農薬を撒いていた飛行機がレースの世界大会で優勝するというありえねー展開よりも、消防士として活躍するという方がよっぽどリアリティがあるから。そんな訳ねーだろっ!というツッコミどころがないだけで、映画はやはりぐっと見やすくなるという事が前作と今作を見比べるばわかる事だろう。
ドラマも想像以上に骨太。ダスティの挫折と成長が、84分という短いランタイムの中で過不足なく描かれている。
脇役のキャラクター造詣も前作よりも遥かに良い。特にブレード隊長の掘り下げはなかなか見事で、元ドラマ俳優がなぜ消防士になったのか、そしてなぜ命を賭けて人(車)命救助にあたるのかを、短い時間で上手く描き切っている。語るべき部分と語らなくても良い部分を的確に理解している、なかなかにクレバーな脚本だと感心しました。
映像面も、確かに火や水の表現力は本家ピクサーに比べると格段に落ちるものの、前作のような薄っぺらさは感じなかった。大都会やレースを見守る大観衆を描かなければならなかった前作に比べ、今作では基本的には森と川と炎を描けば良い。そのシンプルさが技術的な拙さをカバーしたのだろう。このクオリティなら全然ありっ!
ストーリーには予想を裏切るような展開はなく、良くも悪くも王道。不満はないがじゃあ面白いのかと問われると…。
また、修理不可能だと思われていたダスティのギアボックスが直るという取って付けたかの様なハッピーエンドには、「じゃあ今までのやり取りはなんだったんだよ!」と言いたくなる。これじゃ「人生は思い通りにいかないものだ…」とか言ってたブレードがバカみたいじゃないか!今後のシリーズ展開の為にもダスティにはレーサーとして復帰してもらわなければならない、という大人の事情がうっすらと透けて見えますねぇ…。
作品の出来はまずまずといったところなのだが、見どころがほとんど無かった『1』に比べれば何倍も良い!どうせ駄作だろうと高を括っていたが、その予想を良い意味で裏切ってくれました♪
ディズニートゥーン・スタジオの閉鎖に伴い続編の企画は白紙になってしまったらしいが、『カーズ』(2006)の二番煎じでしかないエアレース映画ではなく、お仕事系飛行機映画としてならまだまだ需要がありそうな気がするぞ。
※日本語吹き替えはなかなか悪くない。メインヒロイン(?)のディッパーを演じるのはお笑いコンビ「ハリセンボン」の近藤春菜だが、芸能人吹き替えらしいわざとらしさがなくて全然普通に聞いていられた。スタッフロールを見て驚いたくらい。メーターを演じるぐっさんもそうだけど、なんで俳優よりお笑い芸人の方が吹き替えが上手いんですかね?
もう一つ驚いたのは、日本語声優の中に古川登志夫さんの名前があった事。どこにいるのか全然気が付かなかったけど、劇中ドラマ「白ヘリ野郎ブレード&ニック」のナレーションだったんですね。これ、元ネタのドラマ『白バイ野郎ジョン&パンチ』(1977-1983)で、古川さんがパンチの声を吹き替えていた事を意識したキャスティングなのだと思う。こういう気の利いた配役が出来るアニメは好きだ☺️
コースチェンジ…?
『カーズ』の世界から派生した『プレーンズ』の続編。
前作でレース覇者となり人気者となったダスティが、今作ではレスキュー隊に入隊する事に。
経緯は、まず機器の故障でレース復帰が困難に。
故郷でたった一人で消防活動している仲間に同情し、資格を取ろうとする。
訓練を受けるべく、山岳レスキューのエキスパート隊に入隊。
隊員たちは“チャンピオン”の入隊に盛り上がるが、隊長のブレードは厳しい。
そんな時、大規模な山火事が発生し…!
ブレードに不満たらたら。別に思い上がりって訳じゃないが、自分だって出来る!…と、命令を聞かなかったり。
それが仇となり、仮にもレスキュー隊員の一員でありながら、山火事消火中に自分がピンチに。
そこをブレードに救われる。身を呈して。
ブレードの過去も知る。自分と似た“人気者”であった事、レスキュー隊員になった経緯…。
ただ資格が取れ、機器の故障が直り、またレースに復帰出来ればそれでいいと思っていたダスティは心打たれる。
命を救うとは?
自分に何が出来るか?
第二の人生スタートとしては無難の飛行だが、そもそも何故、レスキュー物に様変わり…?
本家『カーズ』が『~2』で突然スパイ映画風になった違和感を禁じ得なかった。
おまけに、レスキューの資格も取れて、故障も直ってまたレースも復帰出来て、都合良すぎ。
単純な話としては前作の方が面白かったかな。
第二の人生も飛び立てた!
部品の故障が第二の人生をもたらす挫折から学びまたそこから努力する事でやり遂げる幸せを感じられて仲間達のサポートさのありがたさを知り一歩成長した大切な物や気持ち気付いて自分自身以外に人の為に頑張れる成れると想いましたまだまだやり遂げる勇気や力を教えて貰えた作品でした!
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