「こんなばかばかしい話にまさか。」薔薇色のブー子 lotis1040さんの映画レビュー(感想・評価)
こんなばかばかしい話にまさか。
まさかこんな映画に泣かされるとは思ってもいなかった。
一生の不覚とまさにこのこと。
笑えたかというと個人的にはそれほど笑えなかった。確かに面白いシーンはいくつもあったが、それはそれという感じで普通に映画を見てしまった。むしろ笑いに来たのに泣いて帰ったというのが正解。
この映画には不幸な人たちがたくさん出てくる。
その人たちと逃げることなく主人公が向かい合うというのが、このブー子の面白いところだ。
そしてこういう人はおそらく世の中にいる。
器用貧乏というか、喋れば普通に喋れるのに結局器用に立ち回るから疲れてしまい自分だけが不幸な気分になってしまう。
この映画の登場人物の殆どがなにかしらの不幸を抱えていることは想像に難くない。その不幸のアンサンブルこそが、この映画の魅力であり、われわれ観客が補完してみて楽しめる場所ではないかと思う。
おそらく客観的に見て、ブー子よりも不幸な人間はこの中に何人もいるだろう。しかし、不幸か幸福かはその個人によって感じ方も違ってくるし、金持ちの不幸も貧乏人の苦労も一般人の空虚さもそれぞれに重さは同じなのだ。
何度もこの映画に泣かされる場面があった。
今はこの映画の登場人物たちの幸福を願わずにはいられない。
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