「感情移入する人ほどやばい」柘榴坂の仇討 Buster0204さんの映画レビュー(感想・評価)
感情移入する人ほどやばい
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チャンバラなどはそれほどなく、侍の心に沿った人間ドラマ。
泣いた。感動したからではなく、たぶん主人公と同じ、嬉しかったから。
時代の移り変わりと共に失われてゆく文化。
ただひたすらに使命を全うせんとする主人公に時代錯誤だ、もういいのだと諭す周囲に対し、同意する自分とどこかそれを悔しいと思う自分がいる。
名乗り合戦が清々しく、そしてそっとこぼれる仇討ちに執着する理由。思いもしなかった自分にはっとなった。時代も立場も関係ない、馬鹿らしいほど単純なことなのに。
それだけに終盤の対峙で情緒がやばかった。ついに、なのかようやく、なのか。なぜよりによってこの世で唯一、やっと見つけたのが彼なのか。もはや自分だけ、もう終わらせようと諦めていたのに、たった一人、たった一人だけ、ここにいた。
あまりの皮肉に憎さと、それを上回る喜びで涙がとまらなかった。
けして盛り上がる内容ではないだけに、素晴らしい役者たちの演技がこれを単なるお涙頂戴にせず、自然と主人公に寄り添って観られたんだと思う。名乗りとラストと殿のためにたびたび観ては毎回嬉し泣きしてます。
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