ナショナル・シアター・ライブ「フランケンシュタイン」のレビュー・感想・評価
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舞台はここまでできるのか 取り憑かれた様な演技と痛々しい展開
舞台は今まで劇団四季と宝塚しか見たことがなかったが、歌って踊って眩しいそれらとは全く種類が違うものだったように思う。たくさんの火花を撒き散らす車だったり土砂降りの雨だったり本物の植物だったり、丸くそこまで広くない舞台にもこんな使いようがあるのかと驚いた。ベネディクト・カンバーバッチ演じるフランケンシュタインも演じていると言うよりかは幼児が憑依しているかのようで、喃語のようなものを話しながら嬉々として外を駆け回る様子も人間が鹿のように最初から歩けるようだったらきっとこんな感じだろうと思うようなリアルな拙さで良い意味で気味の悪さを感じた程だった。ストーリーも人間の悪い所が隠さず描かれていて満足。ルシファーの堕天やアダムとイブの楽園追放とフランケンシュタインの生い立ちを重ねている点も面白い。フランケンシュタインと博士の関係性は概念としての科学と人間を表しているようだと思った。愛しそれが故に罪悪感に苛まれ失望させられ恐れを抱く。なんだか謎にドン引きして唖然とした気持ちで劇場を後にした。いつの日か絶対本場のナショナルシアターへ行こう。
まるで映画のようだ!!
ダニーボイルが演出すると、
舞台に雨が降り、鳥が飛ぶ。
家が焼け、人が誕生する。
すごい。
舞台上でこんなことができるのか。
前半の怪物のストーリーから、
後半のフランケンシュタインのストーリーへ。
前半は本当に苦しかった。
怪物の誕生、生への喜び。
そこから裏切られる痛みを知る過程。
辛い。普遍性がありすぎる。
これは私たち人間じゃないか。
身に染みる辛さがあった。
そこから、フランケンシュタインへの復讐が始まる。
彼も彼で苦悩しているようだが、
そこは正直、共感出来ない。
しかし、二人の口論は常に見応えがあり、
最終的には、彼の妻が死ぬ。
これ以上ない展開だった。
死んでしまった息子が登場したのもすごかったな。
映画版も観ないと。
映画を観たのだけれど
やっぱり劇場で見る演劇は良いなぁー、でした。 BC怪物版、映画でも十分に感じる彼の存在感は、身体能力が大きい。感覚、感情、身体能力の獲得、言葉、思考、役者の演技というものの可能性を最大限に発揮していた。
出番は少ないがナオミ・ハリス、とても良かった。真っ直ぐな受け止め、揺るがない女性性を感じる。
この二人でお腹いっぱいで、フランケンシュタイン博士の矛盾、勇気、苦悩まで気持ちがいかなかった。
原作読んでしっかり復習します。
友だちが欲しかっただけ
ぎっしりの客席、観客のざわめき、上演中の笑い、笑顔の拍手を見て聞いて切なくなった。劇場がこんな風になるまでどれだけまだ時間がかかるんだろう。
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Cumberbatch博士版を見た。彼の「博士」はより狂っていて自信と知識と野心に取り憑かれていた。家族含めて周りの人達を巻き込み疎まれ愛を求めながら愛そのものから否定されてしまう。自分が造った怪物と同じ、いやそれ以上に孤独の世界に陥ってしまう。それがとても強く伝わってきた博士Cumberbatch、よかった。ジョニー・リー・ミラーの怪物は目が大きいこともあって愛すべき存在のように見えた。一方彼の博士役はインパクトが弱かった。
初めて水や草を知った時の清らかな驚きの場面で流れる音楽が最後にも流れ美しかった。赤ちゃんの手、目、口を感じた。(2022.01.25.)
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TVドラマ「シャーロック」が前年に始まり勢いのある34歳のCumberbatchの舞台。シンプルで抽象的な舞台美術、エッジの効いた照明とテンポのいい舞台転換、回り舞台にセリ、橋にも野原にも道にもなる細い花道が円形の舞台をクロスしている。Cumberbatchが怪物役のを見た。冒頭、生まれつつある、或いは怪我から蘇生する人のような怪物の動きが暗黒舞踏のようで彼の身体能力に目を見張った。小鳥の囀りに心を震わせ雨が降って水を知り草を触り食べ雪に驚く。その怪物は無垢で清らかだった。盲目ゆえ彼の醜い姿を見ないで済む教養ある老人からたくさんのことを学ぶ。音楽を知りミルトンの『失楽園』を読み、老人の息子夫婦のために内緒で手のかかる仕事をして(直接にではないが)感謝される喜びを味わうまでになる。でも幸せはそこまで。その後、彼の姿を見た息子夫妻や人々から浴びせかけられたのは、人間の恐怖と憎しみに満ちた罵詈雑言だけ。自分を造ったフランケンシュタイン博士を追い求める怪物の思いには愛と憎しみが混ざり合い、まるで恋人に焦がれているようだった。そこまで観客に思わせるほどの複雑な感情をCumberbatchは素晴らしく演じていた。
BC怪物版 BC 博士版
憧れのフランケンシュタイン。
さぁ、今日はBC怪物版 2つとも見ようと思うが。
素晴らしいです。しかし、正直に言います。僕は原作を読んでいません。早速、絶対に読みます。
この舞台映画の感想だけで言えば、エクセレントです。すご過ぎます。
映画にしてしまうと、スプラッターになるでしょうね。だから、これで良いと思いますが
やっぱり、まだまだ、良いものがあります。
もう少し長生きしたいですね。
1月12日 12:10より BC 博士版を見るぞ。
一つしか、レビュー 書けないので、追加する。
原作も読んだ。読むのが今頃で申し訳ないですが。
現代ではアナクロだろうが、原作はやっぱり、名作。舞台も出来るだけ、原作に忠実だと思った。舞台の演出もチープな作りでは無い。
原作とは少し違うのも理解出来た。この舞台の方が事の成り行きが理解しやすい。原作はやっぱりアナクロすぎる。まあ、名作だが。
考えを改めよう
「カンバーバッチ怪物版」を鑑賞。かなり前の作品のようだ。
カンバーバッチをたいした俳優だとは、自分は思っていなかったのだが、考えを改めた方がよさそうだ。
クリーチャーの不自由な言葉使いや、引きつった身体をアクロバティックに演じている。
あっという間に舞台袖の高みに駆け上がるなど、肉体の強さ・大きさも魅力だ。イントロの“羽化”のシーンの演技も含めて、ものすごい体力である。
フランケンシュタイン役のミラーも、傲慢だが気が弱い男を、(あまり科学者らしくはないものの)見事に演じている。
小説は未読だが、きちんと舞台作品に落とし込んでいるのではないだろうか。
2人の役を入れ替えたら、また異なる印象だろうが、自分としては従来のカンバーバッチのイメージを覆された「カンバーバッチ怪物版」で十分だ。( チケット価格も高いし・・・。)
インテリさを感じるカンバーバッチの怪物
フランケンシュタインと怪物との配役を、お互い入れ替えて演じる奇抜さ。それをダニー・ボイルが演出だなんて、なんて贅沢。
両方鑑賞した感想は、カンバーバッチの怪物の方が、動きが巧みで気持ちが深く伝わってきたが、カンバーバッチがフランケンシュタインの配役の方が、両方が引き立ってバランスが良いと感じる。また怪物がカンバーバッチだと、やはり彼だけが目立ち、カンバーバッチばかり見入ってしまう事になる。
ただ怪物の苦悩や葛藤は、人間の生きる哲学にも繋がるので、インテリなカンバーバッチが怪物の方が、よりテーマを感じる事ができた。
なかなか現地にまで行って見ることはできないので、映像化して映画館で...
なかなか現地にまで行って見ることはできないので、映像化して映画館で見られるのはありがたい。ベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーがダブル主演でフランケンシュタインと怪物を交代に演じ、両方鑑賞。ジョニー・リー・ミラーの怪物の方が、生まれたばかりで無垢なところから、怪物に成長するまでの感じが好きでした。
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