「神墜ろしの鐘が鳴る」バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
神墜ろしの鐘が鳴る
DCコミックの2大ヒーロー・バットマンとスーパーマンが対決するアクション超大作が、万を持して公開!
『アリvs猪木』的な世紀の茶ば……ゲフッ、ゲフン、盛り上がらないファイトにならないか
心配だったが、そこはコミック原作ものを得意とするザック・スナイダー監督。
2大キャラをいかに同じ世界観にまとめ、対決させるかという点をバッチリ仕上げてきた。
特に前作『マン・オブ・スティール』は「スーパーマンのせいで人死に過ぎ……」と非難されたが
(自分もそこでレビューのスコアを大きく下げた1人)、
本作はその点を反省しつつも無かったことにはせず、きれいに今回の展開に組み込んでいる。
両者の見せ場の配分も良く、スーパーマンの葛藤とバットマンのアクションを交互に描きつつ、
クライマックスの大バトルシーンへと繋ぐという上手い流れを作っていた。
(後々考えると?な展開もあるが、まあそこは勢いがあったので気にならず)
.
.
.
全体的なスケールは前作よりやや小さくなったが、(大富豪で発明家で超マッチョだが一応)
常人バットマンと超人スーパーマンを同じ土俵に立たせる上ではしようがないだろうね。
日本で言えばゴジラVS月光仮面みたいなもんだしね。
むしろこの対決カードでこれだけのスケールを維持した事を誉めるべきかも。
それに、バットマンのアクションは、アナログチックでゴリゴリとした感じがすごく良い。
バットモービルでの大破壊チェイスやクライマックスでの対集団戦はファンタスティック!
肝心のスーパーマンとの対決も、
クリプトナイトで弱体化したスーパーマン VS 極限メカニカルドーピング・バットマンという展開で、
互角のぶつかり合いを見せてくれる(攻防逆転のところが若干コントみたいだけど)。
.
.
.
2大巨頭の対決に無理なく入り込んできたワンダーウーマンも悪くないし、
過去シリーズよりもやさぐれてる執事アルフレッド(笑)もかなり好きだが、
やっぱ強烈だったのは、ひとり異次元テンションで喋り倒す仇敵ルーサー。
'78年度版とは完全に別者。ヘラヘラナヨナヨしているが、頭は回るし心底邪悪。
スーパーマンを嵌める為の大量虐殺シーンには衝撃。ホリー・ハンターとTAOに何て事をっ!!
彼の企みは今回明かされないままだが、 ジョークと隠喩だらけの猛速トークの端々からは、
彼がこの世界の総てを憎みまくっている破滅主義者である事を窺わせる。
神の失墜そして「空より来る」悪魔の台頭。それがルーサーの目的か。
.
.
.
はい、ここまでほぼ褒め倒しですがね、その割には判定3.5 は低いですよね、はい。
かなーり楽しめたのだけど、不満点もそれなりに多いのでしてよ。
冒頭の『スーパーマンのせいで人死に過ぎ』問題は辛くも回避されたが、
今回は別の問題が頭をもたげる。『バットマン、人殺し過ぎ』問題である。
バットモービルでのチェイスで容赦なく悪党どもを爆殺・轢殺していくバットマン。
悪夢(あるいは次作への伏線?)のシーンでも、夢の中とはいえマシンガンで人間をバスバス射殺。
(実銃撃ってるバットマンて初めてじゃないかしら)
スーパーマンを殺す気なのは分かるけど……そこはちょっと違わないかね……。
“殺さず”を徹底する従来の彼の流儀が好きな自分には、今回のバットマンは違和感が大きかった。
それと、スーパーマンの“死”。
自分はそこまでスーパーマンに思い入れは無いし、ロイスとの別れとかも感動的で良いんだけど、
次回作での復活は明白なのに、なぜわざわざ悲愴で面倒な展開を選ぶのかと。
『エンタメだから悲しいシーンを無くせ』と言う訳じゃないんよ。必要性があればそれも良いのよ。
けどスナイダー監督って、悲愴で無慈悲で面倒な展開にむやみやたらに流れるきらいがあると思う。
今回も、前作ほどじゃないが、どうにもスッキリさせてくれない。
あ、あとラストのドゥームズデイ戦が、前作ラストよりアッサリと決着する点もやや拍子抜け。
超常バトル過ぎてバットマンも殆どアタフタしてただけだったし……。
.
.
.
以上。
アクションスケールは減じたが、前作ほどには無慈悲な展開では無くなった点は好みなので、
評価としては前作からほぼ横這い。ただ、リブートに当たる前作より新鮮味は薄れるので
少し下げての3.5判定とした。
いよいよ本格始動したDCコミック映画化シリーズ。
『ジャスティス・リーグ』まではまだまだ長そうだが、
悪党大集結の『スーサイド・スクワッド』にまずは期待。
<2016.03.26鑑賞>
.
.
.
.
余談:
バットマンのアクションがゴツゴツしてたり、
ラスト0.5秒の見せ方が『インセプション』ぽいのは
やっぱ製作総指揮クリストファー・ノーランの意向なのかしら。
お久しぶりです。
やっぱり他の方のレビューを読むと、
別の視点が面白くて、ためになります。
私はガルガドットが出るまで寝てました(ウソ)
ところでシャイニング続編の
映画化が決まったそうですが、
その記事が、いかにも
キューブリックの映画の
続編であるかのような、
そんな書き方なので笑えます(苦笑)